2012年2月の景気動向調査
景気DIは36.3、前月比0.4ポイント増と3カ月連続で改善
< 2012年2月の動向 : 踊り場局面 >
2012年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.4ポイント増の36.3となり、3カ月連続で改善した。
生活関連需要が底堅く推移し、医薬品や自動車関連需要も好調となるなど個人消費の復調が続いた。また、『東北』は復興需要をさばききれない状況が現れ始めたことで足踏みを余儀なくされたものの、景気DIは高水準で全国トップを持続した。
一方、復興需要の恩恵が少ない西日本では回復が遅れる傾向が続いた。また、外需の弱含みや円高の長期化などで企業の生産活動は停滞が鮮明となっている。
国内景気は内需をけん引役として踊り場を脱する兆しはみられるものの、依然として安定感に欠ける状況が続いている。
・『小売』は1年7カ月ぶりに全体を上回り、内需が国内景気のけん引役に
全国的に飲食料品などの生活関連需要が底堅く推移した。また、全都道府県で警報レベルに達したインフルエンザの対策商品が需要増となったほか、タイの洪水被害の影響緩和や新型車の投入、エコカー補助金の復活などが自動車販売も押し上げた。これらの結果、『小売』は3カ月連続で改善し、1年7カ月ぶりに全体(36.3)を上回った。
・『東北』は需要超過が顕在化するも高水準を持続、西日本との格差続く
復興需要の拡大が続く『東北』は、需要が超過し始めたことによる人手や原材料のひっ迫などにより前月と同水準にとどまったが、全国10地域中、6カ月連続で第1位となった。また、東日本の他地域でも復興需要による改善傾向がみられた。一方、復興需要の恩恵が少ない西日本では『近畿』や『中国』などで全体(36.3)を下回る水準が続いた。
・『製造』は2年5カ月ぶりに全体を下回り、企業の生産活動は停滞が鮮明に
外需の弱含みや長引く円高のほか、内需も本格回復には至っていないことから、『製造』は2年5カ月ぶりに全体(36.3)を下回った。リーマン・ショック後、震災の影響が大きかった期間も含めてのこれまでの国内景気をけん引してきた製造業であったが、企業の生産活動は停滞が鮮明となった。
< 今後の見通し : 踊り場局面から緩やかに脱却する可能性 >
米国経済は回復基調を取り戻し始めた段階であり、欧州危機も払拭はされていない。このため、外需や為替動向への懸念は長期化する可能性が高く、国内の生産活動に大幅な改善は期待できない。
しかし、内需は個人消費を中心として政策支援に下支えされながら緩やかな復調を続けることが期待される。復興需要も本格化することで、東北などではその効果が幅広い業界に波及していくものとみられる。ただ、今後見込まれる新たな負担増が消費意欲回復の妨げとなる恐れが強いほか、電力料金の値上げや夏場の電力供給不安などが企業活動にも悪影響を与えることが懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(36.9、当月比0.6ポイント増)、「3カ月後」(37.1、同0.8ポイント増)、「6カ月後」(38.2、同1.9ポイント増)となった。
国内景気は内需の底上げにより踊り場局面から緩やかに脱却していく可能性はあるが、楽観はできない。