2012年3月の景気動向調査
景気DIは38.3、前月比2.0ポイント増と4カ月連続で改善
< 2012年3月の動向 : 踊り場局面を脱する >
2012年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比2.0ポイント増の38.3となり、4カ月連続で改善した。
消費マインドの復調によって生活関連需要が増加したほか、復興需要や政策支援に加えて年度末需要も重なったことで内需が底上げされた。また、外需も堅調であったことから企業の生産活動にも改善傾向がみられた。
しかし、家計の生活防衛意識は根強く、内需にはやや頭打ちの兆しがみられる。企業の収益性は厳しさが続いており、東日本に比べて西日本の改善も遅れている。
国内景気は内需をけん引役として踊り場局面を脱したとみられるが、自律的な力強さはみられない。
・内需の底上げにより、『小売』は4カ月連続で改善
『小売』(38.5)では「飲食料品小売」や「各種商品小売」などで改善が続いた。また、自動車や住宅取得などに対する政策支援や年度末の販促なども関連業種の改善をけん引したことで、『小売』は4カ月連続で改善し、2カ月連続で全体(38.3)を上回った。
しかし、『小売』の改善幅は前月(1.8ポイント)に比べて縮小しており、消費の回復力に力強さはみられない。
・企業の生産活動も回復し、『製造』は5カ月ぶりに改善
米国や新興国向けの外需に支えられたほか、内需では復興需要の増加や個人消費の復調が生産活動の回復につながったことで『製造』(38.5)は5カ月ぶりに改善し、加えて2年ぶりに全12業種がそろって改善した。
ただ、為替は歴史的な円高がやや修正されたとはいえ高い水準が続き、原材料高やデフレなども企業の収益性改善の妨げとなった。
・復興需要により『東北』が7カ月連続で第1位となる一方、西日本との格差は続く
地域別にみると、全10地域が8カ月ぶりにそろって改善した。しかし、『東北』など東日本に比べて復興需要の恩恵の少ない西日本の改善は遅れる傾向が続いた。
< 今後の見通し : 緩やかな回復局面 >
米国景気は堅調さを取り戻し始めており、欧州危機も安定化へ向けた動きがみられることから、いまだ楽観はできないものの外需の復調が期待される。また、内需も復興需要の本格化や政策支援などの好材料が需要を底上げすることが見込まれる。
しかし、家計では復興や財政再建のための新たな負担増が必至となるなかで、政策見通しも不透明なことから先行き懸念は強く、今後、さらに増幅する恐れもある。企業でも原材料高やデフレ、円高、エネルギーの供給不安、産業空洞化、貿易問題など課題が山積している。こうしたことから需要、供給いずれの面からみても、内需の回復力は脆弱なものにとどまる公算が大きい。
景気予測DIは「1カ月後」(39.0、当月比0.7ポイント増)、「3カ月後」(40.3、同2.0ポイント増)、「6カ月後」(41.1、同2.8ポイント増)となった。
国内景気は内外需の復調により緩やかに回復するとみられるが、懸念材料も多く、楽観はできない。