2012年4月の景気動向調査
景気DIは38.5、前月比0.2ポイント増と5カ月連続で改善
< 2012年4月の動向 : 緩やかな回復局面 >
2012年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント増の38.5となり、5カ月連続で改善した。
復興需要や政策支援などが内需を緩やかに底上げしたほか、消費マインドの復調も続いたことで生活関連需要などが改善した。また、企業の生産活動も自動車関連など一部では回復がみられた。
ただ、景気DIの改善幅は前月の2.0ポイントから大幅に縮小した。内需の回復スピードは鈍化しており、原材料価格の上昇や円高の長期化なども収益性の改善を妨げている。また、西日本など被災地域外の回復遅れも顕著となっている。
国内景気は復調を維持したものの、回復力の弱さが浮き彫りとなっている。
・内需の底上げにより、『小売』は5カ月連続で改善
飲食料品や医薬品関連業種などで改善基調が続いた。エコカーに対する政策支援なども下支え役となったことで、『小売』は5カ月連続で改善し、3カ月連続で全体(38.5)を上回った。また、『サービス』も8カ月連続で改善した。
ただ、家計の生活防衛意識は根強く、企業の設備投資の動きも慎重姿勢が続いていることから、『小売』『サービス』とも改善幅は前月に比べて縮小した。
・企業の収益性改善は進まず、『製造』は3カ月ぶりに悪化
生活関連需要のほか自動車関連需要なども増加した。しかし、原材料価格の上昇に加えて、前月に1ドル=70円台後半から83円前後まで修正された為替は当月、同80円台前半の水準に戻るなど企業の収益性は厳しさが続いた。生産活動も全体としてはやや弱い動きがみられたことで、『製造』は3カ月ぶりに悪化して全体の水準を下回った。
・復興需要により『東北』が好調な一方、西日本では低調続く
地域別にみると、『東北』が震災後の改善基調を維持し、10地域中で最も大きな改善幅を示した。一方、被災地域外は伸び悩む傾向が続き、特に西日本ではいずれも全体を下回ったことで地域間格差が拡大した。
< 今後の見通し : 緩やかな回復局面 >
今後、ロンドンオリンピックの開催に向けて世界的にテレビをはじめその他関連需要の増加が見込まれる。また、国内では復興需要や政策支援が内需の下支え役になるものとみられる。
ただ、比較的堅調な米国景気も内需の先行き不安は払拭されておらず、欧州危機も安定化には至っていない。国内でも家計では年金不安が払拭されず、消費税増税など新たな負担増も必至となっており、電力不足にともなう企業の生産・販売活動などへの悪影響も懸念されることから、雇用環境や所得の回復進展も期待できない。すでに内需関連業界の回復は鈍化しており、個人消費は今後も伸び悩む可能性がある。
景気予測DIは「1カ月後」(38.7、当月比0.2ポイント増)、「3カ月後」(39.6、同1.1ポイント増)、「6カ月後」(40.1、同1.6ポイント増)となった。
国内景気は、内外需とも安定感に欠けており、緩やかな回復にとどまる可能性が高い。