2012年6月の景気動向調査
景気DIは37.6、前月比0.6ポイント減と2カ月連続で悪化
< 2012年6月の動向 : 踊り場局面 >
2012年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント減の37.6となり、2カ月連続で悪化した。
復興需要やエコカー補助金などの政策支援によって一部地域や業種では底上げが続いた。しかし、全体として内需は停滞しており、不安定な欧米景気や円高などで企業の収益環境も厳しさが続いたことから、生産活動は低下傾向となった。
さらに、これまで改善傾向にあった『東北』でも頭打ちが鮮明で、政策に支えられてきた自動車関連業種も勢いに陰りがみられる。
国内景気は自律回復に至っておらず、財政出動の効果も息切れし始めており、踊り場局面を余儀なくされている。
・収益性厳しく生産活動も低下したことで、『製造』が3カ月連続で悪化
円高や原材料価格の上昇などで企業の収益性は厳しさが続いた。また、個人消費の停滞も、生産や出荷活動の低下傾向につながった。エコカー補助金がけん引してきた「輸送用機械・器具製造」も悪化したことなどで、『製造』は3カ月連続で悪化し、震災前(2011年2月)の水準を下回った。
・個人消費の停滞により、『小売』が7カ月ぶりに悪化
生活必需品関連業種で悪化がみられたほか、「繊維・繊維製品・服飾品小売」や「家電・情報機器小売」など季節商材関連の業種も悪化したことで、『小売』は2011年11月以来、7カ月ぶりに悪化した。
・復興需要に持続的な底上げの力はなく、『東北』は2カ月連続で悪化
『東北』は「宮城」が2カ月ぶりにやや改善したものの、2カ月前の水準には回復しなかった。また、「岩手」「福島」はいずれも悪化が続き『東北』は2カ月連続で悪化した。「秋田」の改善などで復興需要が周囲へ緩やかに波及する様子はうかがえたが、復興需要に全体をけん引するほどの力強さはみられなかった。
< 今後の見通し : 踊り場局面が長引く可能性も >
復興需要や住宅向けなどの政策支援は、今後も関連業種の下支えに寄与するとみられる。また、ロンドンオリンピックに向けて録画機器や関連グッズなどの需要増が期待され、昨年は震災で中止となったイベントの再開も消費を喚起する可能性がある。
しかし、夏の電力不足が企業の生産や販売活動を抑制し、消費者の購買行動にも悪影響を与える懸念があるほか、エコカー補助金終了後の反動減に対する懸念も増しつつある。長期化する政局の混迷も設備投資や消費マインドの改善を妨げる恐れが強く、今後も企業収益の力強い回復は期待できず、雇用や所得の早期回復も望めない。
景気予測DIは「1カ月後」(36.9、当月比0.7ポイント減)、「3カ月後」(36.9、同0.7ポイント減)、「6カ月後」(36.4、同1.2ポイント減)となった。
国内景気は内需に全体を押し上げるほどの回復力はなく、踊り場局面が長引く可能性がある。