2012年7月の景気動向調査
景気DIは37.9、前月比0.3ポイント増と3カ月ぶりに改善
< 2012年7月の動向 : 踊り場局面 >
2012年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.3ポイント増の37.9となり、3カ月ぶりに改善した。
復興需要が拡大し始めたことで、『東北』や『建設』『製造』など一部の地域や業界では底上げや下支えにつながった。また、梅雨明け後の気温上昇や8月の猛暑予想などによって、涼感製品や節電・省エネ製品などで需要増もみられた。
しかし、全体として個人消費による景気回復のけん引力は低下し、政策支援も息切れしている。
国内景気は自律回復しておらず、復興需要頼みの傾向を強めており、踊り場局面が続いている。
・復興需要が拡大し、『東北』は過去最高を更新
復興需要の拡大によって、「宮城」(全国47都道府県別で第1位)が一段と回復して震災後の最高を更新(54.5)したほか、これまで太平洋側に比べて回復が遅れていた日本海側の「山形」(同10位)、「秋田」(同16位)も震災後の最高を更新した。「福島」(同2位)や「岩手」(同4位)も改善して高水準が続いた。
『東北』では多くの地域が回復傾向を示して最高を更新するなど、復興需要はようやく広がりをみせており、域内全体の回復をけん引し始めた。
・内外需が弱く、『製造』は4カ月連続で全体を下回る
『製造』は復興需要などで東日本地域を中心に底上げされたものの、前月と同水準にとどまった。内外需とも弱く、円高の進行や食料品の原料価格上昇なども企業収益を下押ししたことで、『製造』は4カ月連続で全体を下回る水準となった。
・個人消費の停滞により、『小売』の改善は小幅に
家計の新たな負担増への警戒感は根強く、夏季賞与の減少なども影響して消費マインドの回復は弱かった。また、住宅エコポイントは予算満了で終了し、エコカー補助金の効果も縮小しており、『小売』は0.2ポイントの改善にとどまった。
< 今後の見通し : 踊り場局面が長引く可能性も >
復興需要の本格化や消費税率の引き上げに備えた耐久消費財の前倒し需要は、関連する地域や業種の下支えに寄与するとみられる。また、震災後の反動増として今夏から冬にかけてはイベントや旅行関連企業の復調なども期待される。
しかし、円高や貿易、エネルギー問題、産業空洞化の加速など国内企業の経営環境は厳しさを増している。所得や雇用回復の進展も期待できないなかで、消費税率の引き上げなど新たな負担増が必至とみられることから、今後も消費マインドの大幅な改善は見込めない。政局も安定化にはほど遠く、先行きの政策見通しも不透明なことから、国内の設備投資活動も伸び悩むことが懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(38.0、当月比0.1ポイント増)、「3カ月後」(38.1、同0.2ポイント増)、「6カ月後」(36.8、同1.1ポイント減)となった。
国内景気は内需の回復力が弱く、踊り場局面が長引く可能性がある。