2012年8月の景気動向調査
景気DIは37.7、前月比0.2ポイント減と2カ月ぶりに悪化
< 2012年8月の動向 : 踊り場局面 >
2012年8月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.2ポイント減の37.7となり、2カ月ぶりに悪化した。
復興需要の拡大により『建設』は回復が続いた。しかし、復興需要の効果は限られた地域にとどまった。また、『製造』『小売』などでは長引く円高や天候不順などの影響を受け、需要減に直面した。
全体として政策支援による景気の回復力は弱まり、個人消費のけん引力も力強さに欠ける。
国内景気は自律回復しておらず、復興需要の影響が限定的なものとなりつつあり、踊り場局面が続いている。
・復興需要は一部にとどまり、『東北』は悪化したものの、高水準を維持
復興需要の拡大が一部の地域にとどまったことにより、『東北』は前月比0.7ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。「宮城」(全国47都道府県別で第1位)は2カ月ぶりに前月を下回ったほか、「岩手」(同4位)も悪化した。ただ、「福島」(同2位)は改善し高水準を維持した。また、「山形」(同7位)が過去最高の順位となるなど、日本海側にも広がりをみせた。域内でのバラツキが現れたものの、全国のなかでは高水準が続いている。
・政策効果の弱まりにより、『小売』は大幅悪化
消費税の引き上げ決定や復興増税など家計の負担増に対する懸念に加えて、厳しい残暑による秋物衣料の販売不振などが『小売』の下押し要因となった。また、「自動車・同部品小売」がエコカー補助金の効果縮小で悪化し、『小売』は1.0ポイントの低下となった。
・内外需が弱く、『製造』は4カ月連続で全体を下回る
『製造』は円高や原油・資源高によるコスト上昇などにより、企業の収益環境が一段と悪化したため、2カ月ぶりに悪化した。震災前(2011年2月、37.8)と比較して1.3ポイント下回り回復が遅れていることに加えて、内外需とも弱く、『製造』は4カ月連続で全体を下回る水準となった。
< 今後の見通し : 踊り場局面が続く >
消費税率の引き上げにともなう耐久消費財の前倒し需要や復興需要は、関連する業種や地域を下支えするとみられる。また、震災後に控えられていたイベントや旅行関連の復調なども期待される。
しかし、長引く円高やエネルギー問題、産業空洞化の加速など、国内企業が直面する経営環境の厳しさは続いている。所得や雇用環境の改善も見込めないなかで、消費税率の引き上げや復興増税などの負担増が徐々に家計の購買力を弱めていくとみられる。また、政局の行方や政策見通しが不透明なうえ、近隣諸国との摩擦が経済へ波及することも懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(37.9、当月比0.2ポイント増)、「3カ月後」(37.5、同0.2 ポイント減)、「6カ月後」(37.0、同0.7ポイント減)となった。
国内景気は内外需とも回復力は弱く、踊り場局面が続くとみられる。