2012年9月の景気動向調査
景気DIは36.8、前月比0.9ポイント減と2カ月連続で悪化
< 2012年9月の動向 : 踊り場局面 >
2012年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.9ポイント減の36.8となり、2カ月連続で悪化した。
復興需要の効果は限られた地域にとどまったものの『建設』は4カ月連続で改善した。しかし、『製造』『小売』『運輸・倉庫』などでは長引く円高や近隣諸国との摩擦拡大、天候不順などの影響を受け、需要減に直面した。
全体として、欧米や新興国経済の減速、領土問題などで外需のけん引力は弱まり、個人消費も力強さに欠ける。
国内景気は復興需要の影響が広がりを欠き、海外経済リスクも高まるなかで踊り場局面が続いている。
・復興需要の広がりに欠き、『東北』は2カ月連続で悪化したものの、高水準を維持
復興需要が一部の地域にとどまったことにより、『東北』は前月比0.7ポイント減と2カ月連続で悪化した。「宮城」は2カ月ぶりに前月を上回り、14カ月連続で全国47都道府県別でトップとなった。「福島」(同3位)と「岩手」(同4位)は悪化した。一方、「秋田」(同28位)は前月の第15位から大きく順位を落とすなど、復興需要は太平洋側に集中した。復興需要は広がりに欠けたものの、全国のなかでは高水準が続いている。
・内外需の弱さに領土問題の影響も加わり、『製造』は5カ月連続で全体を下回る
『製造』は円高や原油・資源高によるコスト上昇などで企業の収益環境が悪化していたほか、領土問題などの影響で輸出が減少したこともあり、2カ月連続で悪化した。震災前(2011年2月、37.8)と比較すると2.4ポイント下回り回復が遅れていることに加えて、内需も弱く、『製造』は5カ月連続で全体を下回る水準となった。
・天候不順や家計負担増などにより、『小売』は2カ月連続で悪化
9月前半の厳しい残暑など天候不順にともなう秋物衣料の販売不振、復興増税など家計の負担増に対する懸念などが『小売』の下押し要因となり、0.9ポイント減と2カ月連続の悪化となった。
< 今後の見通し : 踊り場局面が続く >
9月18日に日本銀行が5カ月ぶりに追加金融緩和に踏み切ったことは、一段の円高に対する抑制が期待される。消費税率引き上げによる耐久消費財の前倒し需要や復興需要、イベントの復調期待などは関連業種や地域を下支えする要因になるとみられる。
しかし、長引く円高やエネルギー問題など、国内企業が直面する経営環境の厳しさは続いている。雇用・所得環境の改善が見込まれないなか、欧米経済や新興国の成長の減速による輸出減少や生産活動の停滞もみられるうえ、消費税率引き上げや復興増税などの負担増は徐々に家計の購買力を弱めていくとみられる。また、政局の行方や政策見通しが不透明なうえ、中国、韓国との摩擦による経済への悪影響も懸念される。
景気予測DIは「1カ月後」(36.7、当月比0.1ポイント減)、「3カ月後」(35.7、同1.1 ポイント減)、「6カ月後」(35.7、同1.1ポイント減)となった。
国内景気は内外需ともに回復力は弱く、踊り場局面が続くとみられる。