2003年3月の景気動向調査
3カ月後の先行き見通し、3カ月ぶりに悪化
2003年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.7ポイント増の27.9となった。2002年7月以来7カ月ぶりに改善した前月に続き、2カ月連続の改善となった。
この背景には、製造業を中心に売り上げDIや設備稼働率DIが堅調だったことが挙げられる。米国によるイラク攻撃が開始され、日経平均株価もバブル崩壊後の最安値を更新する8,000円割れ水準にまで下落するなど、国内外ともに先行き不透明感が蔓延しているが、それに伴う各企業の業績への影響は限定的で、こうした企業業績の底堅さが足元の景況感を支えた。
一方、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIは、2002年12月を底に改善傾向をたどっていたが、6カ月後、1年後は前月と同水準にとどまり、3カ月後については3カ月ぶりに反落した。
イラク戦争はすでに終結に向けて進展しているものの、その後の米国経済には明確な回復への道筋が見えてこない。また、アジアを中心に猛威を振るうSARS(重症急性呼吸器症候群)被害の拡大による経済停滞懸念も、新たな不安材料になりつつある。こうした世界経済に対する一層の先行き不透明感が、国内経済の先行きにも影響を及ぼしているようだ。
国内経済にデフレ脱却の糸口が見出せないなかで、足元の景況感は堅調な企業業績に支えられ底割れを回避している。しかし、多くの国内企業は世界経済に依存しており、景況感はしばらく世界経済の動向に左右される状況が続きそうだ。
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