2003年5月の景気動向調査
景気DIは28.5、4カ月連続して改善
2003年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.3ポイント増の28.5となり、2003年2月以降4カ月連続の改善となった。足元の景況感は依然として判断の分かれ目となる50を大きく下回って推移しているものの、緩やかな改善傾向が続いている。また、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIについても、ともに2カ月連続して前月より上昇した。
この背景には、市場拡大が続く携帯電話・デジカメの関連業界や、ディーゼル排ガス規制の強化を控えトラックの買い替え需要が旺盛な自動車関連業界などで、業績が回復している企業が多くなっていることが挙げられる。
また、金融や建設などの不況業種において、当面の金融危機を回避したことにより景況感に改善が見られてきたことや、日経平均株価が8,000円台半ばまで戻したことによるマインドの改善もプラス要因だ。調査期間中、りそな銀行に公的資金が注入されることが決まり、同行をメーンバンクとする一部の企業に金融面での不安が広がっているものの、景況感全体に与える影響はあまり大きくなかった。
しかし、一部の企業の業績回復により景況感が改善傾向をたどっているとはいえ、現在の低水準な状況では到底、本格回復とは言い難い。デフレ脱却への明確な道筋が見えないなか、SARS(重症急性呼吸器症候群)の流行による国内企業への悪影響も出ており、景況感はしばらく現水準での推移が続きそうだ。
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