2003年6月の景気動向調査
景気DIは30.8、前月比2.3ポイントの大幅改善
2003年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比2.3ポイント増の30.8となり、5カ月連続して前月より改善した。改善幅は集計開始の2002年5月以来最大であり、足元の景況感の改善がより鮮明となった。
また、3カ月後、6カ月後、1年後の先行き見通しDIについても、ともに3カ月連続して改善。特に3カ月後は2002年8月以来10カ月ぶりに40を上回った。
この背景としては、りそな銀行への公的資金注入決定により当面の金融危機が回避されたことに加え、大手企業の前期決算が堅調で今期の業績にも期待が高まってきたことが挙げられる。また、イラク戦争が終結し、SARS(重症急性呼吸器症候群)も沈静化。これら世界情勢の安定化要因が重なったことや、海外投資家の思惑買いが株価回復につながり、景気マインドに好影響を及ぼした。
実体経済としては、今秋予定されているディーゼル排ガス規制強化で買い替え特需が発生している自動車関連企業や、携帯電話・デジカメ関連企業などを中心として業績の回復が見込まれる。また、半導体や液晶関連を中心とした一部の企業には設備投資を拡大する動きも出てくるなど、勝ち組企業の改善が目立つ。
しかし、企業の設備投資意欲にはまだ温度差があり、景気浮揚に不可欠な消費は依然として停滞したままだ。ここへきて戻り基調を強めている株式相場も水準訂正の域を出ていない。米経済のデフレ懸念が日本経済に悪影響を及ぼす危険性もあることから、このまま順調な推移となるかは不透明と言わざるをえない。
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