2003年7月の景気動向調査
景気DIは33.4、前月比2.6ポイントの大幅改善
2003年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比2.6ポイント増の33.4となり、2003年2月以降6カ月連続の改善となった。改善幅は前月の2.3ポイントを上回り、集計開始以降での最大改善幅を2カ月続けて更新した。2003年に入ってから足元の景況感は改善傾向が続いているが、ここへきてその傾向は一層鮮明となっている。
ここ数カ月の景況感改善の背景には、イラク戦争の短期終結やSARS(重症急性呼吸器症候群)の終息、金融不安の後退など、これまで先行きへの不透明感を増幅させてきた内外のリスク要因が低減されてきたところに、大手企業の前期決算が堅調で今期の業績に期待が高まってきたことなどが挙げられる。
そのような状況下、デジカメやDVD、携帯電話、自動車など好調な業界の間で設備投資を拡大する動きが見られるようになったことに加え、四半期決算で企業業績の回復基調が確認されたこと、また、日経平均株価が一時1万円台まで戻したことなどが、景況感をさらに改善させた。政府はこうした国内の状況や年後半の米経済の回復期待を背景に、8月の月例経済報告で景気判断を「おおむね横ばい」としながらも「我が国の景気を巡る環境に変化の兆しがみられる」とし、小幅だが前月より上方修正した。
しかし、設備投資への意欲は依然としてまだら模様で力強さに欠けているうえ、個人消費も依然として低迷したままで、予想外に長かった梅雨がそれに拍車をかけることは避けられない。また、これまで景気マインドの改善に大きく寄与した株価は日経平均で1万円を回復して以降は上値の重い展開が続いており、マインド面への相乗効果は薄れつつある。さらに、日米ともここへきて長期金利に上昇傾向が見られることも、景気の先行きに対する新たなリスク要因になりかねない。
2003年7月の倒産件数は1,384件と7カ月連続して前年同月比で減少したが、不況型倒産や老舗倒産が高水準で推移するなど先行きへの不安がくすぶっている。景気DIも判断の分かれ目となる50を大きく下回る水準での推移に終始しており、依然として厳しい環境に変わりはない。