2003年11月の景気動向調査
景気DIは38.5、前月比微増にとどまる
2003年11月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.1ポイント微増の38.5となった。2003年2月以降10カ月連続の改善となったものの、改善幅は6カ月ぶりに1ポイントを大きく下回ってほぼ横ばいとなっており、これまで急ピッチで改善してきた足元の景況感にやや減速感が見られる結果となった。
また、先行き見通しDIについては、3カ月後、6カ月後、1年後ともに前月を下回った。前月の10月はいずれも小幅な上昇にとどまり、景気の先行きへの期待感が薄れる傾向にあったが、今回、11カ月ぶりにすべて悪化に転じたことで、その傾向はさらに強まった。
大手企業の業績回復期待や一部の業界で設備投資意欲が高まるなか、景気底離れを裏付ける経済統計の発表が相次いだことや、上場企業の多くが2003年度決算見通しを上方修正したことで、大企業主導による景気回復が一層現実味を増し、ここ数カ月の急ピッチな改善を牽引した。また、この間に日経平均株価が1万円を回復する水準まで戻したことも、マインドの改善につながった。
加えて、年金問題や巨額な財政赤字問題など将来への不安がくすぶっていることが一因となって、個人消費はいまだ盛り上がらず、内需に前向きな動きは見られていない。一方、対イラク戦争終結後もテロが世界各地で続発し、地政学リスクが再び高まっており、外需にも過度な期待はかけられなくなっている。
12月9日、政府はイラク復興支援のための自衛隊派遣を閣議決定したが、これによって国内へのテロ懸念も高まりつつあるうえ、日経平均株価も一時1万円を割る水準まで下落するなど、かつての勢いを失っている。
これまで、大手企業の好調な業績を背景に景気DIは改善してきたが、中小企業や地方経済、地域金融機関を取り巻く環境に好転する兆しが見られないなか、世界経済や為替・株式市場の行方のほか、国内外のテロ懸念、将来の生活不安など、先行きへの不透明感から先行き見通しDIは悪化に転じている。こうしてみると、景況感が今後も回復傾向をたどるとは考えにくい。