2004年1月の景気動向調査
景気DIは40.1、12カ月連続して改善
2004年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比0.9ポイント増の40.1となり、2003年2月以降12カ月連続して改善した。集計開始の2002年5月以降で初めて40ポイントを超え、足元の景況感は2004年に入っても着実に回復していることが確認された。
また、先行き見通しについても、3カ月後、6カ月後、1年後すべてで前月より改善。特に1年後のDIは49.0と判断の分かれ目となる50ポイントに迫っており、先行きに対する高い期待感が持続していることを示した。
この背景としては、米・独・仏などの堅調な株式市場が示すように世界経済の回復期待が引き続き根強いうえ、中国向けなど外需の拡大や国内のデジタル景気を牽引役として企業業績に顕著な改善が見られることが挙げられる。
また、金融機関の融資姿勢DIの上昇が続くなか、同時に行った資金繰りに関する調査の結果、企業の資金繰りは3カ月前と比べて着実に改善していることが判明。倒産も1月は1,205件と13カ月連続して前年同月を下回っており、こうした金融面での不安後退もマインド改善につながっている。
しかし、景気DIを規模別、地域別、業界別に見ると、依然として大企業と中小企業のDI格差が3.0ポイントあり、地域別では大都市圏と地方圏の格差が13.8ポイントと過去最大に広がっている。業界間でもメーカーと金融や建設、小売業など内需関連業界では景況感に大きな格差が生じており、大都市圏における一部の業界大手を中心とした回復となっているのが実態である。その結果、依然として判断の分かれ目となる50ポイントを割り込んでの推移で、いまだ本格回復とは言えない状況にある。
加えて、2月6日、7日に行われたG7(先進7カ国財務相・中央銀行総裁会議)の共同声明のなかで、ユーロや円に対するドル安への懸念が共有されたが、為替の水準訂正の動きはその後も限定的で、円高へのリスクが払拭されたとは到底言えない。また、G7で米経済の先行きに改めて力強い自信が示されたものの、巨額な財政赤字が米経済の抱えるリスクとして挙げられており、これらも日本経済への先行き懸念材料となっている。
さらに、一部の企業でデジカメの出荷計画が下方修正されたほか、原油価格の高止まりや円高の影響で業績を下方修正する動きが出てきている。大手の企業業績の回復とデジタル景気、外需に下支えられている景況感だが、先行き不透明感が台頭してきていることから、景気DIが今後も順調に回復すると言える状況にはない。