2004年2月の景気動向調査
景気DIは41.5、前月比1.4ポイントの大幅改善
2004年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.4ポイント増の41.5と、2003年2月以降13カ月連続して改善した。4カ月ぶりに改善幅が1ポイントを超えており、足元の景況感は順調な改善が続いている。
また、先行き見通しについても、3カ月後、6カ月後、1年後すべてで前月より改善。特に1年後のDIは49.7と判断の分かれ目となる50ポイントに迫っており、先行きに対する高い期待感が持続していることを示した。
昨年春以降、世界経済の回復に伴う外需拡大期待や国内のデジタル景気を背景として、景況感は緩やかな改善基調が続いている。実際、2003年10~12月の国内総生産(GDP)が実質で年率6.4%(改定値)成長とバブル期に並ぶ高水準となるなど、多くの経済統計で国内経済の回復を裏付ける結果となっている。しかし、中小企業や地方経済における景況感の回復への足取りが重いことや、依然としてデフレ克服への道筋が不透明なことで、景気DIの改善幅は3カ月連続して1ポイント未満と改善ピッチはやや弱まっていた。
こうしたなか、1月の鉱工業生産指数が前月比3.4%増となり、国内経済の好調が持続していることが確認された。また、1月の商業販売統計で小売業の基調判断が上方修正され、これまで国内経済を下支えてしてきた外需と設備投資の盛り上がりが消費へも波及するとの見方が広がり、景況感の大幅な改善を牽引した。2月の消費者態度指数(東京都)も、前月比0.1ポイント増の44.4と2カ月連続して改善している。この間、1ドル=110円台を回復するなど為替の水準訂正が進んだことや、日経平均株価が連日の大商いで昨年来高値を更新したことも、マインド改善につながった。
ただ、緊縮財政による公共投資削減が建設業界や地方経済の景況感を停滞させるなど、今回の景気回復局面の特徴として規模、業界、地域間で景況感に大きな格差が生まれている。加えて、消費意欲の回復やデフレ克服への期待が高まってきたとはいえ、依然として消費意欲は低水準に変わりなく、今後の社会保険料負担増など懸念材料も山積している。デフレについても懸念が後退しているのは一部の素材に限られているのが現状だ。その結果、景気DIは改善が続いているとはいえ判断の分かれ目となる50ポイントを超えておらず、いまだ本格回復とは言えない状況である。
今後、景気DIが50ポイントを超えて景気拡大局面を迎えるには、消費の回復が本格化し、デフレ懸念の後退が多くの業界にも広がることによって、景況感の回復遅れが顕著な中小企業と内需関連業界、地方圏で景況感が改善すること、そして米経済の安定や地政学的リスクの払拭が不可欠と言える。