2004年3月の景気動向調査
景気DIは43.7、前月比2.2ポイントの大幅改善
2004年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比2.2ポイント増の43.7となった。2003年2月以降14カ月連続して改善するとともに、3カ月連続して40ポイントを上回った。また、改善幅は2003年9月以来6カ月ぶりの2ポイント台で、集計開始の2002年5月以降で3番目の改善幅を記録、足元の景況感が急ピッチで改善していることを裏付けた。
また、先行き見通しについても、3カ月後、6カ月後、1年後いずれも前月より改善。特に6カ月後、1年後がともに判断の分かれ目となる50ポイントを上回ったのは2002年5月以来22カ月ぶりで、先行きに対する期待も一層高まっている。
この背景には、今年に入って商業販売統計や消費者態度指数など消費に関する指標に改善が見られ、これまで国内経済を下支えしてきた外需と設備投資の盛り上がりが消費へも波及し始めていることなどが挙げられる。このため、業界別では『金融』、『小売』が前月より大きく改善し、地域別では大都市圏だけでなく地方圏の一部でも大幅に改善。景況感の回復が遅れていた業界や地域での景況感の底上げが、景気DIの大幅な改善を牽引した。実際、3月の日銀短観(企業短期経済観測調査)では、大企業製造業を起点とした景況感の改善が非製造業や中小企業にも波及していることが浮き彫りとなっている。また、日銀は4月に入って景気判断を「緩やかな回復を続けており、国内需要も底堅さを増している」と4カ月ぶりに上方修正した。
しかし、「公共工事の削減により売り上げの確保が難しい」(建設、北海道)や「鋼材価格の上昇分を請負価格に反映できない」(土木工事、富山県)との声があがっているように、緊縮財政による公共投資削減や資材価格の上昇などで建設業界の業況は依然として厳しい状況が続いている。このため、「北海道」をはじめ公共工事に依存する地域ではDIが低水準で推移しており、地方経済はいまだ“まだら模様”から脱していない状況だ。また、資材価格の上昇は建設業界以外にも影響を及ぼしており、「仕入れ価格の上昇分を末端小売価格へ転嫁できない」(ガソリンスタンド、福岡県)など、デフレ下で厳しい経営を強いられている小売業者も散見される。
加えて、減税効果が縮小する年後半以降の米経済の行方に不透明感が増してきているうえ、イラクでの邦人拘束などイラク情勢の緊迫化や為替水準の高止まりなど、ようやく回復の芽が出てきた国内景気を腰折れさせる不安材料は少なくない。
デジタル景気がようやく内需にも点火し始め、外需依存から自律回復に向けた動きが表れ始めた国内経済だが、今後、判断の分かれ目となる50ポイントを超えて景気が上昇局面を迎えるには、内需関連産業や地方圏の景気回復が一層力強さを増すことのほかに、米経済の安定や地政学リスク、円高リスクが沈静化することが不可欠と言える。