2004年4月の景気動向調査
景気DIは45.0、15カ月連続の改善
2004年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は、前月比1.3ポイント増の45.0となった。2003年2月以降15カ月連続して改善するとともに、3カ月連続して改善幅が1ポイントを超えており、引き続き足元の景況感は順調に改善していることを示した。
今年に入り大幅に景況感が改善しているのは、国内経済を下支えしてきた外需と設備投資の盛り上がりが内需に波及し、デフレ不安も後退していることが主因に挙げられる。これを背景に、業界別では景気DIが上昇に転じた2003年2月以降で初めて10業界すべてで改善し、集計開始の2002年5月以降初めて全業界でこれまでの最高水準を更新。また地域別でも3カ月連続して9地域すべてで改善するなど、内外需、大都市圏・地方圏を問わず全体的に景況感が底上げされたことが、景気DIの大幅改善につながった。
実際、内閣府が発表した4月の全国の消費動向調査で消費者態度指数(季節調整前)が約7年半ぶりの高水準となったほか、2004年1~3月期の国内総生産(GDP、速報値)も堅調な個人消費を反映して年率で実質5.6%成長となった。
加えて、ここへきて力強い経済指標が相次ぐ米国に利上げ観測が台頭し、中国政府は過熱景気を冷ますことを目的に株式制銀行に対し新規融資の停止を要請。いずれも長期的には世界経済にプラスと見られているものの、米国の流動性低下や短期的な中国の景気減速懸念が高まり、世界的に株式市場は調整局面を迎えた。日経平均株価も、5月連休明け以降急落に見舞われ、一時、昨年末終値(1万676円)を下回る水準まで下落した。2003年5月以降の株価上昇が景気マインドの改善に大きく貢献しただけに、株価調整の長期化が景況感に与える影響は小さくない。
先行き見通しDIは3カ月後、6カ月後、1年後いずれも前月より改善し、集計開始以降で初めてすべてで判断の分かれ目となる50ポイントを上回った。引き続き先行きに対する期待感は高いが、鉄鋼や電気機械などのメーカーを中心に先行きに対する楽観的な見方が後退してきたこともあって、初めて1年後(51.1)が6カ月後(51.2)を下回っており、今後の国内経済にやや陰りが見えてきたとも取れる。
デジタル景気の継続により、上場企業の多くが今期についても業績の回復を見込んでいるもようだが、日本経済が外需に大きく依存する以上、企業業績や内需の動向よりも世界経済の先行きに左右される局面が続きそうだ。