2004年7月の景気動向調査
景気DIは45.4、3カ月ぶりに前月比改善
2004年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は45.4と前月比1.7ポイント増加した。3カ月ぶりの前月比改善となるとともに、集計開始の2002年5月以降で最高だった2004年4月(45.0)を上回り、過去最高を更新した。
景気DIは、外需や設備投資の盛り上がりが内需や消費、雇用に波及し、デフレ不安も後退したことなどに伴い、2003年1月を底に順調に回復傾向をたどってきたが、原油価格の高騰や世界的な需要増加に伴う原材料価格の上昇によって企業業績への不安が高まり、前月まで2カ月連続悪化とやや頭打ちとなっていた。
こうしたなか、政府は7月の月例経済報告において景気の基調判断を「堅調に回復」と半年ぶりに上方修正。特に個人消費や雇用面の判断を引き上げたことで、企業業績の回復が家計部門へと波及していることが裏付けられ、景気マインドは急改善した。
加えて、「猛暑の影響で清涼飲料水の販売が好調」(飲料メーカー、東京都)との回答に表れているように、7月の記録的な猛暑が飲食料品や家電業界などの景況感を押し上げた。また、8月のアテネオリンピック開催による消費への期待の高まりも、景況感改善につながったようだ。
このほか、「材料の供給不足状態が続き、値上げしても受注は好調」(鉄鋼製品加工、東京都)との回答が示すとおり、原材料価格の高騰に見舞われているなかでも活況を呈している鉄鋼業界や化学業界も、景気DIが集計開始以来の最高水準に達している。
しかし、業界や地域、規模間の景況感に大きな格差が生じているなか、来年度も公共事業費の削減が確実視されており、建設とそれ以外の業界、大都市圏と地方圏、大企業と中小企業の格差はさらに拡大する方向にある。加えて、ロシアで
の供給不足懸念などを背景に過去最高値に達している原油価格や、国内金利のさらなる上昇は、企業業績に大きな打撃となるのは避けられない。さらに、期待が高まっている個人消費についても、歯止めがかかっていないデフレや2004年10月からの年金保険料引き上げという不安要素を抱えている。先行き見通しDIをみると、3カ月後(50.6)は前月より1.1ポイント改善したものの、6カ月後、1年後がいずれも前月と同水準にとどまっているのは、先行きに対する不透明感が依然として払拭されていないことを裏付けている。
これまで国内経済を牽引してきた外需にもやや減速懸念が高まっていることから、景況感は今後も上昇を続けられるかは不透明であり、しばらく一進一退が続くとみられる。