2004年09月の景気動向調査
景気DIは44.3、2カ月連続で悪化
2004年9月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は44.3となり、前月比0.5ポイント減と2カ月連続で悪化した。外需や設備投資の盛り上がりをきっかけとして景気DIは2003年1月を底に順調に回復してきたが、2004年5月に16カ月ぶりに悪化に転じて以降は一進一退が続いており、足元の景況感は依然として踊り場局面にあることが示された。
また、先行き見通しDIについても、すべてで2カ月連続の前月比悪化となり、特に1年後(48.7)は今年最低水準にとどまった。
ここ数カ月の景気DI停滞の背景には、企業業績の回復が個人消費や雇用面など家計部門にも波及し、国内経済の自律回復への期待が高まっている半面、原油価格の高騰により今後の企業業績や国内景気への不透明感が増幅していることが挙げられる。実際、内閣府が発表した9月の月例経済報告では輸出の判断が下方修正されたほか、9月の企業短期経済観測調査(日銀短観)においても業況判断指数(DI)の伸びが鈍化するなど、原油高に伴う外需鈍化への警戒を示す指標が相次いでいる。
こうしたなか、米国に上陸した大型ハリケーンの影響や有力産油国ナイジェリアの治安悪化による供給不安などにより、9月下旬にニューヨーク原油先物相場(WTI期近、月末値)が初めて一時1バレル50ドルを突破。原油高の長期化懸念が一層高まり、「パルプ・紙・紙加工品製造」や「運輸・倉庫」をはじめ幅広い業種で景況マインドが後退、景気DIの続落につながった。
今後については、先行き見通しDIの悪化が示すとおり、原油価格動向の不透明感に加え、来年度の公共事業費削減に伴う業界間、地域間、規模間での景況感格差の拡大懸念、また歯止めのかからないデフレや2004年10月からスタートした年金保険料引き上げによる個人消費への影響懸念など、多くの不安要素が内包している。しかし今回、今後の外需の動向について調査を実施した結果、これまでの外需拡大の恩恵を受けてきた企業の約8割が外需の好調持続を見込んでいることが判明。原油高が進行するなかでも国内経済の先導役である外需への期待が引き続き高いことから、景況感はしばらく原油価格の動向に左右されながらも現水準での一進一退が続くとみられる。