2004年10月の景気動向調査
景気DIは43.9、3カ月連続で悪化
2004年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は43.9となり、前月比0.4ポイント減と3カ月連続で悪化した。2003年1月を底に回復傾向をたどってきたが、ここへきて踊り場局面が続いている。
また、先行き見通しDIについても、3カ月後、6カ月後、1年後すべてで3カ月連続の前月比悪化となった。
景気DIが伸び悩んでいるのは、内閣府の全国消費動向調査で消費者態度指数が8年3カ月ぶりの高水準となり、完全失業率も改善傾向をたどるなど、国内経済の自律回復への期待が高まっている半面、原油価格の高騰や国内デジタル景気の一服、外需の減速懸念などで今後の企業業績に対する不透明感が増幅していることが背景にある。こうした要因を裏付けるように、建設や金融、小売など内需型の業界では足元の景況感が前月より改善している一方で、鉄鋼や電機、精密機械メーカーなどこれまで全体の景況感を牽引してきた業種では悪化が目立った。
加えて、「台風のため入荷が減少し、消費も低迷」(生鮮魚介卸、岡山県)、「新潟県中越地震で生産・販売が休止状態」(清酒メーカー、新潟県)といった企業の声に表れているように、相次ぐ大型台風や地震などの自然災害によって食品関連業界でも景況マインドが大きく後退、全体の景況感を押し下げた。
こうしたなか、中国人民銀行(中央銀行)が過熱投資の抑制を目的として9年今後も、先行き見通しDIの悪化が示すとおり、来年度の公共事業費削減に伴う業界間、地域間、規模間での景況感格差の拡大懸念や、歯止めのかからないデフレなど、構造的な問題が山積している。また、今回、2004年度の企業業績の見通しについて調査した結果、多くが増収増益を達成できるものの期初見通しよりは下方修正を余儀なくされていることが判明。景況感の改善に大きく貢献してきた企業業績にも先行き不透明感が増しているのが実態である。
ぶりとなる利上げを実施。これにより、中国経済が短期的に減速へ向かうとの懸念が台頭しており、米国向け輸出の縮小を中国向けの拡大で補ってきた国内経済への影響は避けられない。
しかし、これまで国内経済の懸案事項の1つであった原油価格(NY原油先物相場〈WTI期近、月末値〉)が11月に入り一時1バレル=50ドルを下回るなど、高水準ながらも先高感は薄れてきており、企業業績の過度な不安はやや後退。また、中国の利上げ実施は長期的には安定成長への布石として捉えることもできるため、景況感はこれから悪化の一途をたどるとは考えにくく、しばらくは原油価格や中国経済の行方を睨んで強弱感が交錯する状況が続くとみられる。