2004年12月の景気動向調査
景気DIは42.7、5カ月連続で悪化
2004年12月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は42.7となり、前月比0.8ポイント減と2004年8月以降5カ月連続して悪化、悪化幅は5カ月間のなかで最大となった。
前月(2004年11月=43.5)に直近の最低水準(2004年6月=43.7)を下回ったことで、足元経済は踊り場局面から緩やかな減速局面入りしたことが示されたが、12月の悪化でその傾向が一層鮮明となった。
このところの景況感悪化の背景には、これまで国内経済を牽引してきた外需や国内デジタル景気に調整懸念が台頭し、企業業績や国内経済に対する不透明感が増幅していることが挙げられる。実際、12月の月例経済報告で政府は景気の基調判断を2カ月連続して下方修正したほか、内閣府発表の11月の景気動向指数(一致指数、速報値)も4カ月連続で50%割れとなるなど、景気減速を裏付ける経済指標が相次いでいる。
そうしたなかで、来年度以降の定率減税の段階的廃止決定などを背景に12月の年末商戦が低調に終わったことで、電気・精密などの機械関連業界をはじめ自動車小売などの消費関連でも景況感が大幅に悪化した。
加えて、「暖冬もあり消費者が購買に慎重となっている」(帽子・マフラー等卸売、東京都)との回答が示すように、暖冬の影響によって繊維や暖房器具などの業界でも景況マインドが後退、全体の景況感の押し下げにつながった。
今後については、先行き見通しDIが3カ月後、6カ月後、1年後すべてで5カ月連続の前月比悪化となり、特に6カ月後のDIが3カ月後を下回る水準が続くなど、DIは引き続き調整局面を示している。来年度以降の公共事業費削減に伴う業界間や地域間、規模間での景況感格差の拡大など、構造的な問題が依然として解消されていないうえ、増税による消費意欲の減退が今後さらに深刻化することは避けられない。また、やや落ち着いたとはいえ原油価格や為替の動向もいまだ楽観できる状況にはなく、DIはこうした先行きへの不安を反映したものと言える。
ここにきて日経平均株価が再び上昇基調をたどるなど、外需やIT関連業界の調整完了による国内経済の再拡大シナリオが一部で期待されているが、DIを見る限り現段階ではいずれも好転の兆しは見えておらず、先行きへの不安もくすぶっていることから、景況感はしばらく弱含みの展開が続くとみられる。