2006年1月の景気動向調査
景気DIは46.9、前月比0.1ポイント減のほぼ横ばい
2006年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.1ポイント微減の46.9となり、ほぼ横ばいながらも2005年6月以来7カ月ぶりの悪化となった。
国内景気の再浮上やデフレ脱却期待の高まりが引き続き全体の景況感を下支えしたものの、落ち着きつつあった原油価格(NY原油先物)がイランの核問題の緊迫化やナイジェリアの政情不安などによって、1月に入って一時1バレル=69ドル台へと最高値水準まで再騰。これによって、「原油価格の高値安定でLPG(天然ガス)マーケットは売り手市場の様相が強い」(LPG卸、東京都)や「軽油の値上がりを運賃に転嫁できない」(運輸、鹿児島県)などの声に示されているように、鉄鋼や運輸、化学、パルプ・紙関連業界などで景況感が大きく悪化した。
また、ボーナス商戦や冬物重衣料の好調によって年末にかけて大幅な改善を見せていた『小売』が、「昨年末の好調から一転して低迷。気温低下も大きく影響した」(食料品小売、東京都)というように、昨年末の反動や厳冬の影響で前月比横ばいにとどまったことも、景気DIの停滞につながった。
一方、ポータルサイト運営のライブドアが証券取引法違反の疑いで東京地検などから家宅捜索を受け、それをきっかけに東京証券取引所が一時的に売買全面停止に追い込まれたこともあって株式市場は一時大きく混乱したが、これによる全体の景況感への影響はほとんどなかった。
今後については、先行き見通しDIは「3カ月後」(50.9)、「6カ月後」(50.9)、「1年後」(50.7)すべてで2カ月連続改善。いずれも判断の分かれ目となる50ポイント超えを維持したが、「1年後」が「3カ月後」、「6カ月後」を下回っている状況には変わりなく、依然として中・長期的な景気回復の持続力に対する不透明感が払拭されていないことが示されている。
これは、原油価格のさらなる上昇への不安がくすぶるなかで、増税による個人消費の腰折れ懸念や、金融の量的緩和解除とそれに伴う金利上昇、また米国の住宅景気など多くのリスクが内包していることが背景にある。
国内経済は緩やかながらも着実にデフレ克服に向かっており、「3カ月後」の先行き見通しDIからも先行きへの期待の高さが窺える。しかし、原油価格や今後の個人消費動向などへの不安が払拭されない限り、景況感の回復は緩やかなものにとどまるものと思われる。