2006年2月の景気動向調査
景気DIは前月比横ばいの46.9、業界・業種間の景況感格差が拡大
2006年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は46.9となり、前月比横ばいとなった。前月(1月)は7カ月ぶりに悪化に転じており、ここへきての足元経済の伸び悩みが鮮明となった。
国内経済の良好なファンダメンタルズ(経済の基礎的条件)やデフレ脱却期待によって改善傾向をたどってきた景況感がこのところ停滞しているのは、業界・業種間で景況感に差が表れ、格差が拡大していることが背景にある。
『不動産』は、オフィス賃料や空室率の改善などにより2002年5月の調査開始以来の最高を更新。また『製造』も、薄型テレビなどデジタル関連の生産好調持続や企業の堅調な設備投資を背景に最高水準となった。
一方、『卸売』、『小売』では「石油製品の価格上昇により取引先のコストが上昇し、加工費の値下げ圧力が強まっている」(メッキ用地金販売、東京都)との声にも表れているように、原油価格が高水準で推移している影響で鉄鋼・化学関連業界を中心に業況は厳しさを増している。また、好調だった年末商戦の反動により繊維関連などで景況感が悪化していることも、『卸売』『小売』全体の景況感を押し下げた。
今後については、先行き見通しDIが2004年12月以来14カ月ぶりに「3カ月後」(50.4)、「6カ月後」(50.6)、「1年後」(50.3)すべてで前月(それぞれ50.9、50.9、50.7)より悪化。また、「1年後」が「3カ月後」、「6カ月後」を下回っている状況にあり、中・長期的な景気回復の持続力に対して不透明感が増幅していることが窺える。
国内経済が緩やかながらも着実にデフレ克服に向かっていることで、しばらく全体の景況感は下支えされるとみられるものの、「今後の増税による影響がどのように出てくるか不透明」(子供服製造、兵庫県)というような増税による個人消費の腰折れ懸念のほか、金融の量的緩和解除とそれに伴う金利上昇懸念、また米国の住宅バブルの行方や原油価格の動向など多くのリスクが次第に顕在化し始めている。
このため、今後は業界・業種間の景況感格差がさらに拡大する可能性が高く、全体としては一進一退の展開となることが予想される。