2006年4月の景気動向調査
景気DI、前月比0.3ポイント減の47.6、原油高・円高で3カ月ぶりに悪化
2006年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は47.6となり、前月比0.3ポイント減と3カ月ぶりに悪化した。
前月(3月)は、日銀が量的金融緩和政策を解除するなど脱デフレへの道筋がより鮮明になってきたことや、雇用増・賃上げによる個人消費への刺激期待の高まりによって、景気DIは原油・素材価格が高止まりするなかでも今回の景気回復局面での最高水準となっていた。
しかし、4月に入りNY原油先物市場で原油価格(WTI期近)が一時1バレル=75ドルを突破するまで急騰。これにより収益悪化を懸念する化学や鉄鋼・非鉄関連業界を中心に景況感が悪化したほか、ガソリン価格の高騰が消費マインドに悪影響を与えるとの見方が浮上してきたことなどから、自動車やアパレルなどの小売関連にも景況悪化が波及した。
また、米国の利上げ打ち止めと日本のゼロ金利解除シナリオ観測による円高ドル安の進行で、電機や機械関連業界などの景況感が後退。貸出上限金利の引き下げ議論の台頭によるノンバンクの業況悪化懸念も、全体の景況感を押し下げた。
今後については、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」の先行き見通しDIがいずれも悪化。特に、「1年後」が「6カ月後」を下回る水準が4カ月続くなかで3系列中最大の悪化幅となっており、中・長期的な景気回復に対する不透明感が増していることがうかがえる。
産油国での核開発問題の緊迫化や夏の需要期を控えて原油高がさらに進行するとみられていることに加え、東京外国為替市場で一時1ドル=110円台に突入するなど円高リスクも一層高まっている。実際、「原油の高値や円高基調により、今後の輸出に陰りが出る」(平鋼製造、岡山県)との指摘は少なくない。また、増税・ゼロ金利解除後の個人消費への不安や金利上昇による企業業績への影響懸念も、国内景気の先行き期待を萎縮させている要因として挙げられる。
国内経済は着実に脱デフレに向かっており、全体の景況感は今後も下支えされるとみられるものの、原油価格や為替、個人消費の動向など先行きに対する不安要因はさらに深化する様相を呈していることから、しばらくは現水準での推移にとどまるものと思われる。