2006年5月の景気動向調査
景気DI、前月比0.6ポイント減の47.0、中小企業の景況悪化で2カ月連続減
2006年5月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比0.6ポイント減の47.0となり、2カ月連続して悪化した。前月(0.3ポイント減)を上回る悪化幅で、足元経済の伸び悩みがより鮮明となった。
国内経済のデフレ克服が鮮明になってきたことや、雇用増・賃上げによる個人消費への刺激期待によって、景気DIは2006年3月(47.9)に今回の景気回復局面での最高水準に達した。しかし、4月は原油価格の再騰や円高ドル安の進行で、鉄鋼や化学、電機、機械関連など外需関連業界の景況感が大きく後退。また、ガソリン価格の上昇に伴う消費マインドの後退などによって小売業界にも悪影響が波及し、景気DIは3カ月ぶりに悪化に転じていた。
5月に入ってからは、株式市場や商品相場の世界的な調整によりゼロ金利の早期解除観測が後退し、円高進行はやや一服。しかし、円高への抵抗力が脆弱で、原油価格の高止まりによる仕入れ単価上昇が収益性を悪化させ始めている中小企業の景況感が大幅に悪化し、全体の景況感を押し下げた。
加えて、天候不順が続いたことによる小売業界の景況感悪化や、国内株式市場がGW明けから大幅下落に見舞われたことも、全体の景況悪化につながった。
今後については、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」の先行き見通しDIがいずれも2カ月連続して悪化。特に「3カ月後」と「1年後」はともに6カ月ぶりに判断の分かれ目となる50ポイントを下回っており、中・長期的な景気回復に対する不透明感はさらに増幅している。
これは、円相場や原油価格に先高観が強く、米経済減速への懸念も高まっていることが背景にある。実際、今回2006年度の為替水準予想を尋ねたところ、多くがさらなる円高進行を見込んでいることが明らかとなった。また、上場企業の今期の業績予想は、これらのリスクを織り込む形で多くの企業が慎重な見方となっている。
さらに、中小企業の景況感は依然として回復途上で今後も楽観できず、利上げや秋の新内閣発足を控えて不透明感も次第に高まっていることから、しばらくは弱含みの展開となる可能性が高まってきた。