2006年6月の景気動向調査
景気DIは46.0、前月比1.0ポイントの大幅減で今年最低水準
2006年6月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比1.0ポイント減の46.0となった。3カ月連続して悪化するとともに悪化幅も拡大し、1月、2月(ともに46.9)を下回って今年最低水準となった。
国内経済のデフレ脱却の鮮明化や雇用増・賃上げによる個人消費への刺激期待によって、景気DIは2006年3月(47.9)に今回の景気回復局面での最高水準に達したが、原油価格の再騰や株式市場・商品相場の世界的な調整などにより、4月、5月は前月比悪化を余儀なくされていた。
6月に入っても、米経済のインフレと景気減速懸念に加え、福井日銀総裁の村上ファンドへの資金拠出が発覚したことなどによって、日経平均株価は一時1万5,000円を大きく下回るなどさらに株価が下落。株安による企業・家計心理への悪影響懸念がさらに高まり、『小売』をはじめ内外需にわたる幅広い業界で景況感が大幅に悪化した。
また、「値上げがあらゆる資材に対してあり、それがほとんど転嫁できていない」(段ボール箱製造、栃木県)などの声に表れているように、原油価格の高止まりにより化学や紙・パルプなど素材関連業界で中小企業を中心に収益が低下し始めていることも、全体の景況感を押し下げた。
今後については、「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」の先行き見通しDIがいずれも3カ月連続して悪化。2005年11月以来7カ月ぶりにすべてで判断の分かれ目となる50ポイントを下回っており、先行き不透明感は一層増幅している。
依然として原油価格の先高観は根強いうえ、米経済の減速懸念も払拭されていない。また、ゼロ金利の早期解除への容認論が次第に強まるなか、今後、円高リスクが再び意識されるのは避けられないほか、秋の新内閣発足を控えて先行き不透明感も次第に高まっている。ここへきて株式市場は戻り基調をたどり、6月の日銀短観でも改めて景気回復基調が示されたものの、こうしたリスクが内包している限り、景況感の大幅な改善を期待できる状況にはない。