2006年7月の景気動向調査
景気DIは46.0、前月比横ばいにとどまる
2006年7月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は、前月比横ばいの46.0となった。前月(6月)までの3カ月連続悪化に歯止めがかかったものの、改善までには至らなかった。
このところの景況感の悪化は、原油価格の再騰や株式市場の世界的な調整、ゼロ金利解除後の金利上昇懸念などによって、企業・家計心理に不透明感が増幅したことなどが背景にある。これによって景気DIは2006年3月(47.9)をピークに下落基調に転じ、前月(46.0)は今年最低水準となっていた。
7月に入ってからも、北朝鮮のミサイル発射問題や中東情勢の緊迫化など地政学リスクの高まりが原油高に拍車をかけ、原油先物相場(WTI、期近)は一時1バレル=78ドル突破と最高値を更新。また、7月14日にゼロ金利が解除されたことで金利上昇リスクが一層高まったことや、梅雨明けの遅れや天候不順なども、幅広い業界の景況感を押し下げた。
実際、「金融機関の貸出金利上昇がようやく回復してきた業績を直撃する」(鍛工品製造、東京都)や「長梅雨の影響で夏物が売れない」(婦人服小売、東京都)などの声が目立った。
これに対し、上場企業の堅調な第1四半期決算によって企業業績に対する過度な不安が後退したことや、それに伴って7月末にかけて株式市場が戻り基調をたどったことなどが、景況感悪化に歯止めをかける下支え役となった。
今後については、「3カ月後」の先行き見通しDIは前月と同水準を維持したものの、「6カ月後」と「1年後」は4カ月連続で悪化しており、依然として先行き不透明感は払拭されていない状況にある。
今回、金利上昇による国内経済への影響について尋ねた結果、6割以上の企業が追加利上げは国内景気を腰折れさせるとみており、金利上昇リスクの高まりが国内経済の先行き期待を萎縮させている一因となっている。また、原油価格の先高観は依然として根強いうえ、米経済の減速懸念や地政学リスクも高まっている。
企業業績や経済統計が示すとおり国内経済は底堅く、しばらく景況感は下支えされるとみられるものの、こうしたリスクが内包している限り、強弱感の交錯する一進一退が続くものと思われる。