2006年8月の景気動向調査
景気DIは46.7、前月比0.7ポイント増と5カ月ぶりに改善
2006年8月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は46.7となり、前月比0.7ポイント増と5カ月ぶりに改善した。
原油価格の再騰やゼロ金利解除後の金利上昇懸念などによる企業・家計心理の悪化を背景に、景気DIは2006年3月(47.9)をピークに下落基調に転じ、前月(7月)は上場企業の第1四半期決算で企業業績の堅調持続が明らかとなったものの、強弱感が交錯する形で前月比横ばいにとどまっていた。
こうしたなか、イスラエル・レバノンの停戦合意に伴う中東情勢の悪化懸念後退などで原油先物相場(WTI、期近)が一時1バレル=70ドルを割る水準まで下落。また、消費者物価指数のプラス幅縮小や鉱工業生産指数の低下などで年内の追加利上げ観測も後退し、悪化傾向をたどっていた鉄鋼・化学関連業界をはじめ、金利動向に敏感な不動産・金融業界などで景況感が改善した。
また、夏のシーズン本格化により、7月まで天候不順の影響で景況感の悪化が続いていた小売業界のほか、サービス業界も大幅に改善し、全体を押し上げた。
今後については、「6カ月後」の先行き見通しDIは前月と同水準、「3カ月後」と「1年後」はいずれも5カ月ぶりに改善したものの、「3カ月後」「6カ月後」「1年後」(49.5→48.7→48.2)と先にいくにつれて低くなっており、依然として先行き不透明感は払拭されていない。
これは、原油高や金利上昇への懸念がこのところ弱まっているとはいえ依然として楽観できる状況にはないことに加え、「原油高によりナフサの第8次値上げが決定し、フィルムの値上げも近々行われることから、業界は厳しい状況に追い込まれる」(プラスチックフィルム製造、東京都)など原油高を懸念する声はいまだ多く、価格転嫁が進まない中小・零細企業を中心に厳しい環境が続いていることが背景にある。
また、ここへきて弱含みな経済統計が発表されるなど国内景気の回復トレンドの変調を指摘する向きがあり、米経済も住宅景気の減速が鮮明となっている。こうした状況下で景況感が今後も順調に回復基調をたどるとは考えにくく、しばらくは一進一退が続くものと思われる。