2006年10月の景気動向調査
景気DIは46.3、2カ月連続の小幅悪化、一進一退続く
2006年10月の景気動向指数(景気DI:0~100、50ポイントが判断の分かれ目)は46.3となり、前月比0.2ポイント減と2カ月連続して悪化したものの、悪化幅は前月に続き小幅にとどまった。ここ数カ月間、景況感は一進一退の展開となっており、大きな変化はみられない。
前月(9月)までの概況
- 原油価格と金利の上昇懸念の高まりに伴う企業・家計心理の悪化などにより、2006年3月(9)をピークに下落基調へ転じる
- 7月以降は原油価格が下落基調となったものの、日米の景気減速を示唆する指標が散見されるようになり、一進一退の局面となる
10月の概況
プラス要因
- 上場企業の総じて好調な中間決算や、米経済のソフトランディング期待の高まり
→ NY株式市場でダウ平均株価が史上最高値を更新、国内株式市場も戻り基調
- NY原油先物相場(WTI、期近)が1バレル=60ドル前後で落ち着き、末端価格も下落し始めたことで、化学や鉄鋼関連、運輸業界などの景況感に好影響
マイナス要因
- 飲酒運転への批判の高まりで、飲食料品業界を中心に業績への影響懸念が拡大
- 気温が平年より高い日が続いたことによる秋冬衣料の販売不振で、繊維関連業界の景況感が後退
- 貸金業法改正案の具体化により、ノンバンクなどで業績悪化懸念が広がる
- 10月9日に北朝鮮が核実験を実施したことによる地政学リスクの高まり
このところの景気DIは、堅調な上場企業の業績や原油価格の下落が日・米経済を下支えしている半面、地政学リスクや原油価格や金利の上昇懸念などが意識され、一進一退の踊り場局面が続いている。
政府は11月に「いざなぎ景気」を超えて戦後最長の景気回復局面となることを見込んでいるが、大企業と中小企業、大都市圏と地方圏でそれぞれ景況感に格差がみられる現状では、大都市圏の大企業に限られた景気回復と言える。
→ 「いざなぎ景気」超え間近の今回の景気回復局面について、約8割の企業が「実感なし」と回答(特別企画参照)
今後の見通し
先行き見通しDIが「3カ月後」、「6カ月後」、「1年後」と先にいくほど低くなる状況が続くなか、「3カ月後」は前月比1.1ポイント落ち込んだのをはじめ4カ月ぶりに3指標とも悪化、先行き不透明感は再び増幅している。
- 地政学リスクが払拭されず、原油高リスクへの懸念もくすぶっている
- 2006年7~9月期の米GDP伸び率が住宅投資の減退により低水準にとどまったことで、米経済の先行きに対する楽観論がやや後退。一方、設備投資や個人消費、企業業績は引き続き堅調に推移しており、強弱感が交錯している
景気DIは大手企業の堅調な企業業績が引き続き下支えするとみられるものの、中小企業の景況感回復が遅れている現状では大幅な改善を見込める状況にはない。そうしたなかで、米経済や北朝鮮、原油価格の動向などのリスクが増幅しつつあり、今後、弱含みの展開となる可能性は否定できない。
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