2008年1月の景気動向調査
景気DIは35.5、集計開始以来最大の前月比2.8ポイント悪化
2008年1月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は35.5となり、前月比2.8ポイントの大幅悪化となった。2007年4月以降10カ月連続の悪化となるとともに、4カ月連続して悪化幅が1ポイント以上となり、景気回復局面入りした直後の2003年8月(34.9)以来の水準まで落ち込んだ。
なお、悪化幅2.8ポイントは、集計開始の2002年5月以降、2002年10月(26.8、前月比2.1ポイント減)以来5年3カ月ぶり2回目の2ポイント超えで、それを抜いて最大。このところ足元経済が急速に悪化している実態を裏付けた。
前月(2007年12月)までの概況
・サブプライム問題の表面化によって米住宅景気や世界的な信用収縮への懸念が増幅するなか、原油高や円高の進行、「改正建築基準法」の施行、政治不信の高まりなどによるマインド悪化が重なり、年末にかけて景気DIの悪化ペースが加速
1月の概況
米金融機関のサブプライム関連損失追加計上で米景気への懸念が一層増幅
・米金融機関が第3四半期決算でサブプライムに絡む損失を相次いで追加計上したことで、サブプライム問題による米景気の後退懸念がさらに増幅。これにより、月末に一時1ドル=105円台に突入するまで円高が進行したほか、世界の主要株式市場が軒並み急落し、幅広い業界で景況感が大幅悪化。特に『製造』は4年4カ月ぶりに40ポイントを割り込み、国内景気の牽引力がさらに減退
「改正建築基準法」など規制強化による関連業界への悪影響、収束せず
・「改正建築基準法」施行後、急減していた住宅着工はやや回復したとはいえいまだ低水準に変わりはなく、「建築確認が下りず廃業を余儀なくされる業者が続出」(建築工事、和歌山県)している状況で、『建設』、『不動産』をはじめ建材、鉄鋼など周辺業界の景況感は回復せず。『不動産』は2007年9月施行の「金融商品取引法」の影響もあり、2003年11月以来4年2カ月ぶりに40ポイント割れ
季節要因としての需要減退、初売り不振で景況感停滞、原油高一服でも景況感改善せず
・「季節要因で倉庫が閑散としている」(運送、東京都)との声にも表れているように1月は営業日数が少なく需要も減退する時期であることに加え、初売りも全体的には不調に終わったことなどにより、内需関連業界を中心にマインドが停滞
・年明けに1バレル=100ドル台に乗せたNY原油相場(WTI、期近)が一時90ドル割れまで下落したものの、「原油・飼料価格の高騰によるコストアップを販売価格に転嫁できない」(農業、群馬県)との声は引き続き多いうえ、先高観も拭えず、景況感の改善には至らず