2008年2月の景気動向調査
景気DIは36.1、11カ月ぶりに前月比改善も0.6ポイントの小幅にとどまる
2008年2月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は36.1となり、前月比0.6ポイント増と2007年3月(45.5)以来11カ月ぶりに改善した。
しかし、前月(35.5、同2.8ポイント減)は悪化幅が集計開始の2002年5月以降で最大となり、景気回復局面入りした直後の2003年8月(34.9)以来の水準まで後退。これと比較すると改善幅はわずかで、足元経済は引き続き厳しい状況にあると言える。
前月(1月)までの概況
・2007年夏以降、米サブプライム問題の表面化や原油高、「改正建築基準法」の施行など国内外のリスクが増幅し、景気DIの悪化に歯止めかからず
・年末にかけては、米金融機関のサブプライム関連損失拡大により米景気の後退懸念が一層深化。円高進行や世界的な株価下落、政治不信など新たなリスクも顕在化し、2007年10月以降は景気DIの悪化幅が1ポイントを上回るなど悪化ペースが加速
2月の概況
米モノラインに対する救済策の相次ぐ発表で米経済への不安がやや後退
・サブプライム問題に絡んで経営悪化が取りざたされている米モノライン(金融保証保険会社)に対し、銀行による資本増強など救済策の発表が相次いだことで、サブプライム問題の深化による米経済への影響懸念がやや後退。これによって、急落していた世界の主要株式市場は一旦落ち着き、円高の進行にも一定の歯止めがかかるなど、増幅していたリスクが若干低減
高騰続ける原油価格、再び1バレル=100ドル突破
・年明けに一時1バレル=100ドル台に乗せた後やや下落をみせていたNY原油相場(WTI、期近)が、2月下旬に一時102ドル台と再び100ドルを突破。「原料価格アップ、石油化学製品の再々値上げに対し、製品への転嫁が追いつかない」(化学品メーカー、福岡県)といった厳しい声は一向に沈静化せず
「改正建築基準法」など規制強化による関連業界への悪影響、いまだ収束せず
・2008年に入ってマンション分譲会社の㈱グレイス(神奈川県)や㈱アジャクス(神奈川県)が相次いで倒産するなど、「改正建築基準法」施行による影響が収束する気配はみられず、『不動産』をはじめ周辺業界では厳しい業況続く
年度末需要への期待で一部の内需関連業界の景況感を押し上げ
・年度末需要への期待が『建設』『小売』など一部の内需関連業界の景況感を押し上げ。特に『小売』は、低水準ながらも花粉症関連商材など一部商品の販売が好調なこともあって改善