2008年3月の景気動向調査
景気DIは35.6、前月比0.5ポイント減、前月の改善分をほぼ帳消し
2008年3月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は35.6となり、前月比0.5ポイント減と2カ月ぶりに悪化した。11カ月ぶりの改善となった前月の改善分(0.6ポイント)をほぼ帳消しにし、足元経済が停滞していることが裏付けられた。
前月(2月)までの概況
・2007年夏以降、米サブプライム問題の表面化によって米景気の後退懸念が高まったほか、世界的な株安や原油高・円高、「改正建築基準法」施行などのリスクも増幅し、景気DIの悪化に歯止めかからず。2008年1月(35.5)はサブプライム関連損失拡大で米景気への懸念が一層増幅し、集計開始以来最大の悪化幅(2.8ポイント減)で景気回復局面入りした直後の2003年8月(34.9)水準まで後退
・2月に入り米サブプライム問題への対応策が相次いで発表され、それに伴って株式・為替市場も一旦落ち着くなど増幅していたリスクが若干低減されたことで、2月(36.1)は前月比0.6ポイント増とわずかながらも11カ月ぶりに改善
3月の概況
米証券大手の経営危機表面化などで米景気への懸念再び増幅、ドル急落、
中国の輸出急減速で中国経済の成長持続への期待も収縮
・米雇用統計の大幅悪化や、米証券大手ベアー・スターンズの経営危機の表面化に伴って金融不安が再燃したことなどで、一旦後退していた米景気への懸念が再び増幅。また、これに伴って為替市場で一時1ドル=95円台までドルが急落し、輸送用機械や電機など外需関連を中心に幅広い業界で景況感が大きく後退
・米景気の後退を背景に中国の米国向け輸出も急減速しはじめていることが明らかとなり、中国経済の成長持続への期待も収縮
→ 日経平均株価、約2年7カ月ぶりに一時1万2,000円割れまで急落
→ 政府、3月の月例経済報告で景気の基調判断を「回復はこのところ足踏み状態」に2カ月連続して下方修正し、景気の踊り場局面入りを認定
高騰続ける原油価格、ついに一時1バレル=110ドル突破
・NY原油相場(WTI、期近)が3月中旬に一時1バレル=110ドルを突破するなど原油高に歯止めかからず。最近の原油高が要因となって近江陸運㈱(負債30億円、滋賀県)が倒産に追い込まれるなど運輸業界の経営環境はさらに厳しさを増し、鉄鋼関連業界などの景況感も押し下げ
機能不全に陥っている政治への不信も景況感にマイナスに作用
・「日銀の次期総裁も決められない政府に日本の経済財政健全化ができるとは思えない」(運輸、熊本県)との声に代表されるように、日銀総裁人事やガソリンにかかる揮発油税の暫定税率の期限切れに絡む与野党の対立が、企業の景況感にマイナスに作用
年度末需要、「改正建築基準法」の影響で打ち消され景況感の底上げにつながらず
・例年、3月は年度末需要で内需関連業界を中心に景況感が改善する傾向にあるものの、『建設』、『不動産』は「改正建築基準法」施行などによる影響が尾を引き、いずれも改善みられず