2008年4月の景気動向調査
景気DIは35.0、前月比0.6ポイント減と2カ月連続悪化
2008年4月の景気動向指数(景気DI:0~100、50が判断の分かれ目)は前月比0.6ポイント減の35.0となり2カ月連続で悪化した。これは2003年8月(34.9)以来4年8カ月ぶりの低水準で、直近の最低水準(35.5、2008年1月)を下回り、2007年4月以降の悪化傾向が継続、足元経済は引き続き減速していることが示された。
< 2008年3月までの概況 : 減速 >
・2007年夏以降、サブプライム問題の表面化により米景気が減速傾向となり、世界的な株安や原油高・円高、「改正建築基準法」などの規制強化も影響して景気DIは悪化を続け、2008年1月(35.5)には集計開始以来最大の悪化幅(2.8ポイント減)を記録
・2月に入り、サブプライム問題への対応策の発表によりショックはやや緩和されたものの、3月には米証券大手ベアー・スターンズの経営危機や円高の進行(一時1ドル=95円台)、原油価格の高騰(1バレル=110ドルを突破)によって再び悪化基調へ
< 4月の概況 : 減速 >
原油・素材価格がさらに高騰 → 企業の収益性が低下し個人消費も低迷
・NY原油先物相場(WTI、期近)が年初から2割上昇し、4月下旬に一時1バレル=119ドルを突破。「仕入れ単価DI」(66.8)は集計開始(2002年5月)以来最高となり、「販売単価DI」(52.9)との格差(▲13.9)は2007年8月(▲15.3)に次いで過去2番目の高水準に。価格転嫁が進まず、企業の収益性は厳しさが増す
・所得が伸び悩むなかでの食料品の値上げラッシュによって、個人消費の動向を反映する『小売』(32.1)は2003年6月以来4年10カ月ぶりの水準に落ち込み、10業界中で『建設』(28.0)に次ぐ低水準となる
政策による先行き不透明感が増幅 → 消費マインドを下押し
・日銀総裁人事の迷走によって、金融行政への懸念が拡大(4月9日に総裁人事決着)。長引く年金問題やガソリン税(揮発油税)の暫定税率をめぐる与野党の対立、名称を含めて問題となっている後期高齢者医療制度などによって先行き不透明感が増幅し、消費マインドを下押し
サブプライム問題が長期化 → 『製造』『不動産』が悪化、設備投資意欲DIも最低水準に
・米雇用統計が3カ月連続で大幅に悪化し、サブプライム問題による米国の実体経済への影響が長期化する公算が高まる。国内の景気回復を牽引してきた『製造』(36.9)は2003年8月(36.8)以来4年8カ月ぶりの低水準となり、同様に『不動産』(33.3)も同年6月(31.7)以来4年10カ月ぶりの水準に落ち込む。さらに、企業の「設備投資意欲DI」(42.9)は集計開始以来の最低水準にまで悪化