企業は「SDGs」にどう取り組めばよいのか?業界ごとの事例を紹介


今やメディアで聞かない日はない「SDGs」。


帝国データバンクが実施した最新の調査[1]によると、『SDGsに積極的』な企業の割合は1年前から12.5ポイント増の52.2%となり、半数以上の企業がSDGsに対し前向きな姿勢を示しています。


SDGsの17目標のなかで現在力を入れている項目は、働き方改革などを含む『働きがいも経済成長も』が31.4%で最も高くなりました。次いで、『つくる責任つかう責任』(22.9%)や『エネルギーをみんなにそしてクリーンに』(22.5%)など環境保全に関する項目が2割台で続きました。

SDGslogo.png

業界別にみても、9業界中7業界で『働きがいも経済成長も』がトップとなりました。同項目は「キャリアパスに応じた研修」や「従業員の健康保持・増進」などといった、業界を問わず実施できる取り組みがあげられます。また、7業界で『エネルギーをみんなにそしてクリーンに』が上位3項目にランクインしています。


他方で、『農・林・水産』は『陸の豊かさも守ろう』、『サービス』は『すべての人に健康と福祉を』が上位3項目に入り、業界特有の取り組みもみられます。


さて、各業界における具体的なSDGsへの取り組みはどのようなものがあるのでしょうか?
同調査で企業から寄せられた声を以下にあげます。

  • 『農・林・水産』
    「皆伐後の再造林を必ずする」(森林組合)
  • 『金融』
    「ペーパーレス化の促進、女性活躍の推進やジェンダーレスへの取り組みを行っている」(信用金庫・同連合会)
  • 『建設』
    「地元の木を使って家づくりをすることで山の活性化に取り組んでいる。山と建主がつながることにより山を守っていくという意識が高まる」(木造建築工事)
  • 『不動産』
    「廃棄物を減らし、再利用を積極的に行いたいと考えている。また環境負荷の高い製品は控え、エネルギーに対しても必要最低限とする。個々の働き方も自由に解放し、生き方の選択肢を増やす努力を行っていく」(建物売買)
  • 『製造』
    「次世代に向けて、持続可能な地球になるよう、大量生産・大量廃棄から脱却し、リサイクルやリユースにできるところから実施している」(SW電源等製造)
  • 『卸売』
    「廃棄物を削減する企業努力および廃棄品の再利用による他社との協業に努めている」(靴卸売)
  • 『小売』
    「地域の農業協同組合と共同で破棄イチジクを集荷して新商品を開発した。積極的
    に販売を進めている」(菓子小売)
  • 『運輸・倉庫』
    「環境問題への対応を会社の経営目標の一つとして捉えており、船舶に使用する燃料の低硫黄化や、太陽光パネルの設置など、ここ10年の間に環境対策に資源を集中している」(内航船舶貸渡)
  • 『サービス』
    「測量・計測を飛行機やヘリコプターなどといったガソリンを使用するものの代わりに、ドローンなど電気を使うもののみで実施している」(土木建築サービス)


このような取り組みは一例に過ぎませんが、こうしたSDGsに取り組んでいる企業の約3社に2社が効果を実感していることが同調査で明らかになりました。  


なかでも、1割超の企業が「売り上げの増加」をあげており、社会課題の解決と事業の成長は実際に両立できるといった事例がでてきています。


一方で、"費用面での余裕がない"などを理由にSDGsに取り組んでいないといった声も聞かれます。


確かに、企業が手がけるSDGsへの取り組みというと、費用が発生するものばかりを思い浮かべてしまうかもしれません。


しかし、SDGsへの取り組みには、「ペーパーレス化」や「リサイクル・リユース」、「従業員のワーク・ライフ・バランスの推進」などといった、費用があまり発生しないようなものも数多くあります。


他方、費用が発生するものに関しては、国や自治体が実施している補助金・助成金制度を活用して取り組むことも一策です。SDGsに特化した支援策はありませんが、SDGsの『つくる責任つかう責任』や『気候変動に具体的な対策を』などに関連する環境に配慮した設備導入補助金や、『質の高い教育をみんなに』『働きがいも経済成長も』に関連する人材開発支援助成金などがあげられます。


こうした行政の支援策を活用しながらSDGsに挑戦することを検討してみてはいかがでしょうか。



[1] 帝国データバンク「SDGsに関する企業の意識調査(2022年)」(2022年8月25日発表)

このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。