企業の今後1年の値上げに関する動向アンケート(2022年6月)

値上げ実施済・予定企業は7割
~7~9月の値上げ予定、4月時点から11ポイントアップ、「食品」目立つ~

新型コロナウイルスやロシア・ウクライナ情勢、原油・原材料価格の高止まりに加え、円が約24年ぶりの安値を付けるなど、さまざまな要因を背景に仕入れコストが上昇している。こうした状況の下、帝国データバンクが実施した2022年5月の景気動向調査において、企業の「販売単価DI」が7カ月連続で過去最高を更新するなど、販売価格や取引価格への転嫁の勢いは増している。


そこで、帝国データバンクは、企業の今後1年の値上げ動向についてアンケートを行った。同様の調査は2022年4月に続き2回目。

  • アンケート期間は2022年6月10日~13日、有効回答企業数は1,701社(インターネット調査)

アンケート結果

  1. 企業の7割弱が、2022年4月以降に値上げした/もしくはする予定

    自社の主な商品・サービスの値上げ動向について尋ねたところ、4割超(42.3%)の企業が「2022年4月~5月の間にすでに値上げした」と回答(複数回答、以下同)。また「2022年6月に値上げした/する予定」は14.1%、「2022年7月~9月ごろに値上げ予定」は19.9%、「2022年10月~12月ごろに値上げ予定」は9.3%となり、企業は今後も値上げを考えていることが分かった。

    この結果、2022年6月以降に「値上げした/する予定」の企業は合計で37.0%となった。「2022年4月~5月の間にすでに値上げした」企業と合わせると、「値上げ実施済・予定」企業は68.5%と7割近くに達した。他方、「今後1年以内で値上げする予定はない」は7.4%、「値上げしたいが、できない」は14.6%だった。


    企業からは「原油価格の高騰、人件費や傭車費の値上げによる輸送費の上昇、セメント価格の値上げが重くのしかかっている」(建設石材窯業製品卸売)との声があった。原材料費の値上がりや原油価格の高騰にともなう物流費上昇、急激に進む円安などが重なったことでおきた急激なコストアップが、企業努力で吸収できる限界を超え、値上げに踏み切ったとの声が多く聞かれた。


    企業の値上げ動向(複数回答)

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    4月に実施した同様の調査と比較すると、「2022年7月~9月ごろに値上げ予定」の企業は11.3ポイント上昇(4月調査:8.6%→6月調査:19.9%)、「2022年10月~12月ごろ値上げ予定」の企業は6.7ポイント上昇(同:2.6%→同:9.3%)しており、この2カ月の間に値上げを考える企業の勢いが増していることが分かった。

    2022年7月~12月に値上げ予定企業(複数回答)

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  2. 『卸売』『製造』で進む値上げ、全体を10ポイント超上回る

    今回の調査について、「2022年4月以降に値上げ実施済・予定」企業を業界別でみると、『卸売』(87.6%)や『製造』(79.9%)での割合が高く、全体平均(68.5%)を10ポイント超上回った。さらに業種別では、「飲食料品・飼料製造」が91.3%、「建材・家具、窯業・土石製品卸売」が89.1%、「飲食料品卸売」が88.5%となり、これらの業種で値上げがとりわけ進んでいる。

    企業からは「原材料、調味料・包装資材の度重なる値上がりが、自社内のコスト削減レベルを大きく上回るため、自助努力では吸収できない」(野菜漬物製造)や、「木材・コンクリートなどは、ウッドショックや急激な円安、ロシア問題などで、すでに尋常でないほど価格が上昇し、値上げせざるを得ない状況にある」(木材・竹材卸売)といった意見があがっている。いくつものコスト上昇要因を背景とした原材料や仕入れ商品・部品などの大幅な価格上昇に企業が耐えきれず、値上げに踏み切るという声が多く聞かれた。


    他方、「情報サービス」(12.0%)、「不動産」(29.6%)、「運輸・倉庫」(51.2%)の業種では、値上げを実施している企業の割合が低くなった。「値上げして自社のビジネスチャンスを損ないたくない」(ソフト受託開発)、「値上げをすれば契約打ち切りのリスクがかなり高い」(一般貨物自動車運送)と、他社との競合などから、人件費や燃料費などの上昇分を転嫁しにくい状況がうかがえる。


    また小売業や個人向けサービス業を含む「個人消費関連」[1]をみると、「値上げ実施済・予定」企業は71.2%となった。止まらない値上げラッシュによって、消費者心理の一段の冷え込みが懸念される。

    2022年4月以降に値上げ実施済・予定企業

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    「値上げ実施済み・予定」と回答した企業の声    【 】内は主要な商品・サービス
    • 【佃煮・煮豆・惣菜】今までにないくらいの仕入コストの上昇幅であり、段階的に値上げを何度もされ、上限をどこで見ていけばいいか予測がつかない。一度値上げはしたが、仕入先からさらに値上げを要請されており、再値上げを実施する方向で検討している(惣菜製造)
    • 【冷凍食品】円安により輸入仕入れ品が高騰し販売価格へ転嫁している。また、電気料金の値上げにともない冷凍商品の保管費用も上げている(冷凍食品卸売)
    • 【建築材料】石油精製品の樹脂建材品を取り扱っており、原油価格の高騰および円安は直に影響を受けるため、値上げせざるをえない(家具・建具卸売)
    • 【機械器具】2021年より鋼材関連(鉄・ステンレス・銅合金・アルミ)で毎月値動きがあり、顧客からの注文書を見るたびに価格変更の依頼を提出している。今後も継続して月次で値上げを申請し続ける(金属部品製造)
    • 【電気工事】購入品(電気機器類、電線ケーブルなど)について値上げをしているが、労務費に関しては出来ていない(一般電気工事)
    • 【時計・宝石】舶来腕時計で円安の影響が多大にあり、スイス・ドイツのブランド品を4~6月に値上げした(宝石貴金属製品小売)

    「値上げしたいが、できない」と回答した企業の声
    • 【監視システム】新規入札は競争が激しく、値上げはできない(パッケージソフト)
    • 【情報サービス】人件費がほとんどであるが、物価が上がっているため、給与(人件費)を引き上げて価格に転嫁したいという希望はある(ソフト受託開発)
    • 【貸切バス】値上げはしたいが需要がないため、同業者間で足並みが揃わない(貸切旅客自動車運送)
    • 【不動産仲介】宅建業法で受領上限額の規定がある(不動産代理・仲介)

    まとめ

    本アンケートの結果、「2022年6月以降に値上げした/もしくはする予定」の企業は3社に1社にのぼる。さらに2022年4月以降でみると、7割弱の企業が自社の主な商品・サービスを「値上げ実施済・予定」であることが判明した。


    今後の値上げ状況は、急激な円安の進行にともなう輸入物価の上昇が懸念されるほか、先行きの見通せないロシア・ウクライナ情勢や、原油・原材料価格の高止まりも当面避けられそうにない。こうしたなかで、4月時点よりも値上げ実施の勢いは増している。そのため、多方面からの大幅なコストアップに耐えきれなくなった企業による値上げは、夏以降も続くことが予想される。


    [1]「個人消費関連」は『小売』および個人向けサービス(「飲食店」、「旅館・ホテル」、「娯楽サービス」、「教育サービス」)の業種が含まれる


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