法人課税の実効税率に対する企業の意識調査

法人実効税率、企業の3社に2社が「引き下げるべき」
~ 引き下げ分は5割の企業が人員増強や設備投資など積極的な使い道を想定 ~

はじめに

東日本大震災以降、復興増税など増税が相次ぐなか、法人税減税は安倍政権が国会提出を予定している成長戦略第二弾の目玉政策となっている。現在、主要国の法人所得課税の実効税率が20%台となっているなか、日本の法人実効税率は世界的にも高く、国内投資が少ない要因になっていると同時に、企業の海外移転の理由の1つともいわれる。また、法人実効税率の見直しは、日本の企業の競争力強化や雇用の確保などにおいて議論が行われている。

このような背景を踏まえ、帝国データバンクは、法人課税の実効税率等に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2013年9月調査とともに行った。なお、法人課税の実効税率に関する調査は2010年7月に続き2回目。

  • 調査期間は2013年9月17日~30日、調査対象は全国2万2,733社で、有効回答企業数は1万826社(回答率47.6%)
調査結果(要旨)
  1. 法人課税の実効税率、企業の66.6%が「引き下げるべき」と回答。特に、大企業よりも中小企業で引き下げを求める企業が多い
  2. 実効税率の引き下げ分の使い道として、雇用や給与など「人的投資」が28.5%、設備投資や研究開発など「資本投資」が21.0%となり、合わせて半数の企業が積極的な投資に使うことを想定している。一方、5社に1社が「内部留保」として自社内にとどめると回答
  3. 優先的に見直して欲しいと考える税項目は、法人税が55.9%で最多。他方、中小企業では「固定資産税」など利益の有無にかかわらず徴収される税項目を挙げる企業も多い
  4. 現在の実効税率が続いた場合、企業の競争力に「悪影響がある」と考える企業は50.5%。とりわけ、『不動産』(54.2%)と『製造』(56.8%)で高い。さらに、企業の3社に1社が雇用に、4割以上が設備投資に「マイナスの影響」を与えると考えている
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