2016年度の賃金動向に関する企業の意識調査

賃金改善を見込む企業は46.3%で7年ぶり減少
~ 賃金改善の理由、「労働力の定着・確保」が過去最高の73.8% ~

はじめに

2015年の景気は「踊り場局面」とする企業が半数を超える(「2016年の景気見通しに対する企業の意識調査」)など停滞感の漂う一年となったが、政府は官民対話を通じて賃金の引き上げを要請している。そのため、雇用確保とともにベースアップや賞与(一時金)の引き上げなど、賃金改善の動向はアベノミクスの行方を決定づける要素として注目されている。

このようななか、帝国データバンクは、2016年度の賃金動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2016年1月調査とともに行った。

  • 調査期間は2016118日~31日、調査対象は全国23,228社で、有効回答企業数は1519社(回答率45.3%)。なお、賃金に関する調査は20061月以降、毎年1月に実施し、今回で11回目
  • 賃金改善とは、ベースアップや賞与(一時金)の増加によって賃金が改善(上昇)することで、定期昇給は含まない

調査結果(要旨)

  1. 2016年度の賃金改善が「ある」と見込む企業は3%。前回調査(2015年度見込み)を2.0ポイント下回り、リーマン・ショックで大幅減を記録した2009年調査(2009年度見込み)以来7年ぶりの減少。また、2015年度は3社に2社が賃金改善を実施
  2. 賃金改善の具体的内容は、ベア35.5%(前年度比1.2ポイント減)、賞与(一時金)26.0%(同1.4ポイント減)。2013年度以降3年連続で上昇していたベアは4年ぶりに低下
  3. 賃金を改善する理由は「労働力の定着・確保」が73.8%で過去最高を記録。また「同業他社の賃金動向」の割合も過去最高を更新するなか、「自社の業績拡大」は3年連続で減少。改善しない理由は、「自社の業績低迷」が61.5%で最多となる一方、「同業他社の賃金動向」「人的投資の増強」は前年調査より3ポイント以上増加
  4. 2016年度の総人件費は平均2.49%増加する見込み。従業員の給与や賞与は総額で約3.4兆円増加と試算される
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