人手不足に対する企業の動向調査(2017年10月)

正社員不足、過去最高の49.1%に上昇
~ 「情報サービス」は7割超の企業で正社員不足 ~

はじめに

有効求人倍率の上昇や失業率の低下など労働市場が逼迫するなかで、求職者側では明るい材料となっている。一方で、企業にとって人手不足の状態が続くことで人件費上昇などコスト負担の高まりに直面し、今後の景気回復に足かせともなりかねない。こうしたなか、人口減少と産業構造の変化で、働き手の奪い合いが生じており、アベノミクスの成長戦略を進めていくなかで、人手不足が大きな懸念材料ともなっている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2017年10月調査とともに行った。

  • 調査期間は2017年10月18日~31日、調査対象は全国2万3,235社で、有効回答企業数は1万214社(回答率44.0%)

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は49.1%と5割近くに達した。3カ月前(2017年7月)から3.7ポイント増、1年前(2016年10月)から7.3ポイント増加した。正社員の人手不足は、2006年5月の調査開始以降で過去最高を更新した。業種別では「情報サービス」が70.9%と7割を超え、トップとなった。以下、「メンテナンス・警備・検査」や「運輸・倉庫」「建設」など6業種が6割台となった。不足企業が60%以上の業種は3カ月前より増加し、企業の人手不足感は一段と深刻度を増している。規模別では、大企業ほど不足感が高く、大企業の積極的な採用活動が中小企業の人材確保に大きな影響を与える要因になっている
  2. 非正社員では企業の31.9%が不足していると感じている(3カ月前比2.5ポイント増、1年前比4.7ポイント増)。業種別では「飲食店」「飲食料品小売」「人材派遣・紹介」「メンテナンス・警備・検査」などで高い。上位10業種中5業種が小売や個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。正社員と同様に、規模の大きい企業ほど不足感が強くなっているなか、「中小企業」の不足感も一段の高まりを見せている
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