人手不足に対する企業の動向調査(2018年7月)

企業の50.9%が正社員不足、7月では過去最高
~ 正社員は「情報サービス」が7割、非正社員は「飲食店」が8割の企業で不足 ~

はじめに

2018年度の有効求人倍率が高度経済成長期に近い水準に上昇しているほか、失業率も四半世紀ぶりの低水準で推移するなど、労働需給はひっ迫度を増している。企業においては人手不足が深刻さを増すなか、優秀な人材の確保難に加え、人件費の上昇などを通じた収益環境への影響も表れてきている。一方、労働環境は求職者側に明るい状況となっており、就業機会の拡大や労働者の賃金上昇につながる好材料ともなっている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2018年7月調査とともに行った。

  • 調査期間は2018年7月18日~31日、調査対象は全国2万3,112社で、有効回答企業数は9,979社(回答率43.2%)

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は50.9%で1年前(20177月)から5.5ポイント増加し、7月として初めて半数を超えて、過去最高を更新。業種別ではソフト受託開発などの「情報サービス」が71.3%でトップ。以下、「運輸・倉庫」や「建設」「メンテナンス・警備・検査」など7業種が6割台となった。また、「輸送用機械・器具製造」「人材派遣・紹介」では1年前より20ポイント以上増加しており、人手不足が急速に高まっている。規模別では、大企業の不足感が一段と強まるなか、小規模な企業の人手不足も広がっている。正社員が「不足」「やや不足」「適正」「やや過剰」な企業では正社員数が前年同月より増加している一方、「非常に不足」している企業では正社員数が減少
  2. 非正社員では企業の33.0%が不足していると感じている(1年前比3.6ポイント増)。業種別では「飲食店」が8割を超えたほか、「メンテナンス・警備・検査」「人材派遣・紹介」「娯楽サービス」「飲食料品小売」などで高い。上位10業種中8業種が小売や個人向けサービスとなっており、消費者と接する機会の多い業種で不足感が高い。正社員と同様、規模の大きい企業ほど不足感が強いなかで、人手不足が従業員の少ない企業でも深刻化している
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