人手不足に対する企業の動向調査(2019年1月)

正社員、非正社員ともに1月の過去最高を更新
~ 「飲食店」は正社員、非正社員ともに前年から不足感が上昇 ~

はじめに

2018年の人手不足倒産の件数は153件(前年比44.3%増)となり、調査を開始した2013年以降で最多を更新し、人手不足が企業活動に与える影響は一段と強まっている(帝国データバンク「『人手不足倒産』の動向調査(201318年)」)。また、2018年の有効求人倍率は45年ぶりの高水準で推移し、労働需給はひっ迫度を増している。人手不足は人件費上昇のみならず、新規受注の抑制要因となるなど企業活動に悪影響を及ぼしており、各社では生産性の向上が急務となっている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2019年1月調査とともに行った。

  • 調査期間は2019年1月18日~31日、調査対象は全国2万3,035社で、有効回答企業数は9,856社(回答率42.8%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2019年1月の結果を基に取りまとめた。

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は53.0%で1年前(20181月)から1.9ポイント増加し、1月としては過去最高を更新した。業種別では「放送」(76.9%)が最も高く、次いで「情報サービス」(74.8%)、「運輸・倉庫」(71.9%)が続き、3業種が7割を超えた。以下、「建設」「飲食店」「家電・情報機器小売」など6業種が6割台となった。また、「飲食店」は1年前の32位から5位まで上昇し、正社員の不足感は急速に強まっている。
  2. 非正社員では企業の34.4%で人手が不足していた(1年前比0.3ポイント増)。業種別では「飲食店」の84.1%(同9.8ポイント増)が不足と感じており、依然として突出した高水準が続いている。「飲食料品小売」「娯楽サービス」などの接客業が上位にあがった。規模別では、「大企業」「中小企業」「小規模企業」すべてで1年前を上回った。
  3. 人手不足の回答別に2019年度の企業の賃金改善見込みを分析したところ、「非常に不足」では67.5%の企業で賃金改善の予定が「ある」と見込んでおり、「不足」が67.6%、「やや不足」が59.6%で全体の55.5%をそれぞれ上回った。また、「適正」が52.0%、「過剰計」が41.4%でそれぞれ全体を下回り、人手不足感が強いほど賃上げに積極的である結果となった。
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