人手不足に対する企業の動向調査(2019年10月)

企業の50.1%が正社員不足
~ 製造業の不足感は大幅減少の一方、非製造業は高水準続く~

はじめに

人手不足による企業への影響は「需要増加への対応が困難」がトップにあげられるなど、企業の成長を抑える要因の一つとなっている(帝国データバンク「人手不足の解消に向けた企業の意識調査」)。また、20194月から順次施行されている働き方改革関連法にともない、長時間労働の是正や年5日の年次有給休暇の取得義務化など、労働環境は大きく変化している。そのため、企業には生産性の向上による業務の効率化などが求められている。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査201910月調査とともに行った。

  • 調査期間は20191017日~31日、調査対象は全国23,731社で、有効回答企業数は1113社(回答率42.6%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は20065月より毎月実施しており、今回は201910月の結果をもとに取りまとめた。

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は50.1%(前年同月比2.4ポイント減)となり、若干の減少がみられたものの、5割超の高水準となった。業種別では「情報サービス」(75.3%)が最も高く、「建設」(70.4%)も7割を上回っている。以下、「運輸・倉庫」「自動車・同部品小売」「娯楽サービス」「医療・福祉・保健衛生」など7業種が6割台となった。規模別では「大企業」は61.4%となり10月として過去最高を更新した。一方で、「中小企業」は同3.0ポイント減の47.3%と減少傾向にある
  2. 非正社員では、企業の29.3%で人手が不足していた(前年同月比4.8ポイント減)。業種別では「飲食店」(同6.1ポイント減)は78.3%となり、8割近い企業で人手不足を感じている。次いで、「娯楽サービス」「旅館・ホテル」「飲食料品小売」が6割台で上位。規模別ではすべての規模で1年前を3ポイント以上下回っており、全体を通して人手不足感が弱まっている
  3. 人手不足割合を『製造』『非製造』別にみると、1年前と比較して『製造』では大きく減少した一方で、『非製造』はほぼ横ばいとなった。また、『製造』に分類される11業種のうち、正社員では10業種で、非正社員では9業種で1年前より減少し、なかには10ポイント以上減少している業種もみられた
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。