2020年度の雇用動向に関する企業の意識調査

正社員の採用予定、6年ぶりに6割を下回る
~ 新型コロナウイルス感染症の影響で、採用を控える企業も ~

はじめに

人手不足が深刻化するなか、2019年の有効求人倍率は1.60倍と、依然として高度経済成長期に近い高水準が続いている(厚生労働省)。また、新規学卒者の就職内定率は201912月時点で87.1%(大卒)となり、1996年に調査を開始して以来2番目に高い内定状況となっている(厚生労働省・文部科学省)。さらに、政府は、就職氷河期世代に対して就労やキャリアアップなどの活躍支援を始めるなど、雇用の下支えが注目されている。

そこで、帝国データバンクは、2020年度の雇用動向に関する企業の意識について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年2月調査とともに行った。

  • 調査期間は2020年2月14日~2月29日、調査対象は全国2万3,668社、有効回答企業数は1万704社(回答率45.2%)。なお、雇用動向に関する調査は2005年2月以降、毎年実施し、今回で16回目

調査結果(要旨)

  1. 2020年度に正社員の採用予定がある企業は前回調査(20192月実施)から5.0ポイント減少の59.2%となり、2年連続で減少、6年ぶりに6割を下回る大幅減となった。規模別では、「大企業」は82.9%と7年連続で8割台となり、高い採用意欲が続いている一方、「中小企業」は53.6%で同5.5ポイント減少した。正社員採用は、大企業の積極性が続く一方、中小企業は高水準ながら慎重な採用姿勢がうかがえる
  2. 非正社員では、採用予定がある企業は44.2%で、前回調査から6.1ポイントの大幅減となり、3年ぶりに5割を下回った。一方、人手不足の状態にある業種における採用意欲は高く、「飲食店」で9割、「各種商品小売」「教育サービス」など5業種は7割を上回る企業で採用を予定している
  3. 企業からあげられた声をみると、新型コロナウイルス感染症による先行き不透明感の高まりで、採用を控える企業も多くみられた
  4. 「就職氷河期世代活躍支援プログラム」の利用状況について、プログラムの利用に『積極的』(「既に利用した」「現在利用中」「これから利用する予定」のいずれかを回答した企業)な企業は6.3%だった。また、「利用しない(できない)」は35.4%だった。「プログラムを知らない」は23.9%となり、4社に1社が当プログラムを知らなかった
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