人手不足に対する企業の動向調査(2020年10月)

2020年6月以降、人手不足割合は緩やかに増加
~ Go To トラベルが本格化して以降、「旅館・ホテル」の人手不足は増加 ~

はじめに

厚生労働省によると、新型コロナウイルスの影響による解雇やその見込みがある労働者数は7万1,121人となり(2020年11月13日時点)、ペースは鈍化しているものの増加し続けている。採用や雇用の動向に対する懸念は残るが、企業の生産・出荷や個人消費の回復などで国内景気は低水準ながら徐々に持ち直し始めてきた。人手不足は緊急事態宣言の期間に大幅に緩和したものの、その動向が引き続き注目される。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2020年10月調査とともに行った。

  • 調査期間は2020年10月19日~31日、調査対象は全国2万3,695社で、有効回答企業数は1万1,448社(回答率48.3%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2020年10月の結果をもとに取りまとめた。

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は34.0(前年同月比16.1ポイント減)となった。10月としては5年ぶりの3割台となり、2013(33.4)に近い水準となった。月次でみると、緊急事態宣言が発出され経済活動が制約されていた5月を底に、緩やかに増加している。業種別では、オンライン授業の需要増加がみられる「教育サービス」が62.5%で最も高く、同様にリモートワークなどで需要が高まっている「電気通信」(60.0)も高い
  2. 非正社員では、企業の19.0%(前年同月比10.3ポイント減)で人手が不足しており、10月としては8年ぶりに2割を下回った。業種別では「家具類小売」が43.8%(同25.6ポイント増)がトップとなり、「飲食料品小売」「メンテナンス・警備・検査」も4割台で続いた。規模別では、特に小規模企業で人手不足の増加が目立つ
  3. 新型コロナウイルスの影響で深刻な打撃を受け、Go Toキャンペーンの対象となっている「飲食店」と「旅館・ホテル」の動向を月次でみると、正社員に関して「飲食店」(25.5)は緊急事態宣言が解除されて以降はほぼ横ばいで推移した。他方、「旅館・ホテル」(40.5)Go Toトラベルが本格化し始めた8月以降に大幅増となり10月の人手不足は4割を上回った
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。