人手不足に対する企業の動向調査(2021年7月)

企業の人手不足感は、再び上昇傾向
~ 多くの業種で不足感が高まる一方、過剰感が続く業種も ~

はじめに

厚生労働省によると、2021年8月13日時点で新型コロナウイルスの影響による解雇等見込み労働者数(累積値)は11万3,272人となった。月次ベースでは減少傾向にあるものの、2021年7月においても3,586人と多くの労働者が解雇・雇い止めされている。

一方、直近の雇用状況をみると、2021年6月の有効求人倍率(季節調整値)は1.13倍となり5月から0.04ポイント上昇。新規求人数(原数値)は製造業、サービス業、教育・学習支援業などで増加した。しかし、宿泊業や飲食サービス業では新規求人数が減少するなど、雇用情勢は業種によってバラつきがみられる。

そこで、帝国データバンクは人手不足に対する企業の見解について調査を実施した。本調査は、TDB景気動向調査2021年7月調査とともに行った。

  • 調査期間は2021年7月15日~31日、調査対象は全国2万4,285社で、有効回答企業数は1万992社(回答率45.3%)。なお、雇用の過不足状況に関する調査は2006年5月より毎月実施しており、今回は2021年7月の結果をもとに取りまとめた

調査結果(要旨)

  1. 正社員が不足している企業は40.7%となった。正社員の人手不足割合は、2020年5月(29.1%)を底にして再び上昇傾向がみられる。業種別にみると、「建設」では57.5%と、51業種で最も高い割合となった。また、「自動車・同部品小売」や「輸送用機械・器具製造」などの自動車関連の業種が上位にあがった
  2. 非正社員が不足している企業は22.5%となった。業種別では、「飲食店」や「各種商品小売」といった個人消費関連の業種が上位にあがった。また、「メンテナンス・警備・検査」や「人材派遣・紹介」なども高水準となった
  3. 正社員が過剰な企業を業種別にみると、「旅館・ホテル」が42.5%でトップとなった。以下、「医薬品・日用雑貨品小売」「繊維・繊維製品・服飾品卸売」「出版・印刷」などが続いた
このコンテンツの著作権は株式会社帝国データバンクに帰属します。報道目的以外の利用につきましては、著作権法の範囲内でご利用いただき、私的利用を超えた複製および転載を固く禁じます。